福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -035/046page
研究紹介 進路の学習を支援するマルチメディア教材の開発と活用
教育センター情報教育部 堂 山 昭 夫
I 研究の意図
1 新しい教育の流れから
今、学校の授業をどのように改善するかが問われている。教師主導の一斉授業から脱却し、「私はこれを調べてみたい」という児童生徒一人一人の学習意欲に支えられた授業への質的改造が求められている。
中学校の学級活動の中で重要な位置を占める「進路の学習」は、まさに「生きる力」の育成と密接に関連するものである。これまでの進路の学習を見直し、生徒一人一人の主体性をより大切にした授業へと改善を図ることは、今日的課題の一つである。
2 授業改善とコンピュータの活用
映像世代に生きている児童生徒にとって、コンピュータは大変魅力あるものである。特に、マルチメディアを用いたソフトウェアは、文字・静止画・動画・音声といった様々な情報を一つのモニター上に提示できたり、提示順序が柔軟であるため、児童生徒が自ら学習内容を選択できるなど、学習意欲を引出し高めていくような特徴を備えている。
これらの特徴を十分に生かすことによって、児童生徒の思考活動や表現活動をより豊かなものにしたり、一人一人の興味・関心に応じた調べ学習をより広がりのあるものにするなどの効果が期待できる。
3 進路指導の現状と課題
進路指導の現状は、ともすると進学指導に偏りがちであると言われている。望ましい職業観や勤労観を形成し、将来の生き方を考える上で大切となる職業に関する学習は、副読本の利用が主体であり、本来行うべき、「啓発的体験学習」はむずかしい現状にある。
以上のことから、進路の学習において職業に関する「啓発的体験学習」の場を生み出すとともに、手軽で学習意欲を高めるような教育用ソフトウェアの開発とその活用法について研究を行うことにした。II 研究の概要
1 ソフトウェアの開発
(1) 基本方針
中学校3年間における進路の学習の系統性を十分考慮し、活用の範囲を明確にしながら、マルチメディア対応のソフトウェアを開発する。(2) 開発内容
働く人々の仕事の様子や考えについて取材した内容をもとに、職業インタビューを疑似体験