福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -006/042page

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しましても「総合的な学習の時間」をどう準備するかであろうと思われます。今日は「総合的な学習の時間」に絞っていろいろとご指導いただくつもりでまいりました。よろしくお願いいたします。
高階  よろしくお願いします。
齋藤  さっそくで恐れ入りますが、新しい学習指導要領で「総合的な学習の時間」が設けられました。その背景等につきましては、各教育雑誌等でもいろいろと論説されておるわけですが、各学校からは教科指導の充実とのかかわりからとまどう声も聞かれます。「総合的な学習の時間」が創設された背景にはどのような考えがあったのでしょうか。改めてお話しいただければありがたいのですが。

高階玲治先生
高階玲治先生

高階  非常に簡単に言うと、これまでも学習指導要領の改訂は何度も行われてきたわけですけれども、その改定は、主に教科等を中心に内容を減らしたり精選したりして進めてきたわけですね。ところが子どもたちをみると、自分から進んで学ぷ、自分から考える、そういう態度が非常に弱くなっていて、しかも、総合的な生きる力も減退しているような傾向がみられる。そうすると、教科中心に考えてきた教育課程の改訂が子どもたちの力になっていたのかというと非常に反省がある。そこで、むしろ教科と違ったタイプの学習活動を組み入れることによって、子どもが自分で課題を見い出したり、自分で学ぷ態度を形成したりという、そういう形のものをつくりあげたらどうだ。そういうことで、まず学ぷ態度の形成ということを考えたのが一つだと思います。
 それから、教科はどうしても教科書中心になりがちですけれど、子どもの生活を考えれば大人の生活と同じように、国際理解が問題である、環境が問題である、情報の問題、あるいは福祉だとか様々なことが問題になる。そういうナマの問題を対象としてやる場合には、教科の枠だけでは十分やれないのではないか。教科の枠を取り外して、もっと社会の問題にジカに触れさせるような、そういう学習活動ができないかということであったと思うんですね。それは社会の変化への主体的な対応力という社会の問題、それが二番目だと思うんです。
 三番目は、これまでの学校の教育は教科書を中心にやってきたけれど、社会の問題に触れるようなこと、あるいは地域に出かけて学習するようなこと、そういう学習を展開すれば学校教育だけでなくて地域の人たちが様々な形で学校教育に参加してくれる。今までは子どもたちをその学校の先生だけで教えてきた。それでいいのかという反省があって、地域の人たちも教育に関心をもってゲストティーチャーとして学校に来る、それだけでなく、子どもたちが地域に出掛けていって様々な体験活動をする、地域の人材に学ぷ、簡単に言えぱそういう三つの点が総合的な学習の時間創設の考え方だと思うんですよね。


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