福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -004/042page
先生方はこれまで、いろいろな研究を何回となく進めてきたと思いますが、研究の深まりをみなさんに発表するときは、どれだけ分かりやすく簡潔に伝えるかが大切になってきます。どんなに立派なことを言っても、それが受け入れられなければ意味がないですよね。だから分かりやすくポイントを押さえて簡潔にみなさんに分かってもらう努力が必要です。発表するということは分かってもらうということで、自分の自己満足のためにやっているわけではないのですから。そういう意味で、どういう発表をするかということは非常に重要なことですね。
3 新しい学習指導要領で何が変わるのか
この文部省の出したパンフレットには、何が変わるのかということが分かりやすく説明してあります。まずタイトルに「新しい学習指導要領で学校は変わります。」と書かれています。変わってもらいたいという意味だろうと思いますが、何が変わるのかということをここでは5つ示しています。本当は6つ書いてあるのですが、一番下のはQ&Aでお尋ねに答えているものです。ですから5つですね。これが21世紀の学校教育のポイントだと考えて間違いないと思います。
ですから、授業の改善といった場合にこの5つのポイントをどう考えていくか、ということが、私は大切になってくるんだと思います。多くを話す時間はありませんが、若干そのことについてコメントしながら紹介してみたいと思います。
4 学校週5日制の完全実施で何が変わるのか
1番目は何かというと、完全学校週5日制ということです。これは先生方ご案内のとおりで、これまでは6日制でしたから、それを5日制に変えると言うことは学校の大きな様変わりを意味しています。しかし、その5日制になることは学校の日数が1日少なくなるというだけなら大きな意味はありませんが、しかし、6日制から5日制への背後には、学校というところは何をするところかということをやっぱりきちんと踏まえて、学校でやるべきことはきちんとやっていかなければならないという1つの考え方があると考えなければなりません。
まあ、6日制から5日制になるということはそれだけ学校に来る日数が、少なくなるわけです。それは「学校教育というもので教育の全てを担おうということはやめよう」ということが背景にあります。学校という所は子どもの全ての教育を受け入れるところではありません。子どもにとって必要な教育の中の学校でやるべきことをきちんとすること、そのことを自覚すること、そういうことが求められることになります。それから、学校だけでは子どもを育てられない。すべてを学校の責任だけでとらえることはやめよう。子育ては、学校ももちろん責任を持たなければならないですけれど、保護者・家。庭、それから地域の人も子育てにもっと積極的になってもらおう、という考え方が、私はこの5日制に込められているんだと思うんです。5日制とは、単に子どもが学校に行く日が1日少なくなったという物理的な問題ではなく、背後にある学校教育の在り方、子育ての在り方、そういう問題の問い直しがあると考えることが大切だと思うんです。
このことはどういうことになるかといいますと、私も中学校教員をしていましたから分かるつもりですが、学校の先生方というのは、みんな責任は自分たちにあるんだ、と考えるんです。