福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -009/042page

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端的に言いましょう。例えば分数の計算の指導をしている時、「先生、分数の計算私知ってるもん」という子どもがいたらば先生はどうしますか。これを考えてください。ところが同じ分数の計算を教えているときに、まだ整数の足し算や引き算も十分にできない子どもがいる。なんでできないのか。この子はどうしますか。そんなことはいろんな教科のいろんな場面で出てきます。それに対して先生方はどうしていますか。「知ってるもん!」と言われて「知ってても黙っていなさい。まだ分かっていない子がいるんだから。」、こう言ったらこの子はやる気をなくしますね。先生のことも嫌いになる。できない子にもいろいろ言ったところでとてもとてもです。それでやる気と元気がでるはずはない。この一事を考えただけでも、どの子にもやる気と自信を持たせるにはどうすればいいのか、これは授業づくりの基本だと思います。先生方にいろいろと考えていただきたいのです。

だから、特色ある学校づくりというものは決して生易しいものではないのです。やはり、教育の本質、学校に来ているどの子にもやる気と自信を起こさせる学校づくりというものはできないか。1人でも救える、2人救えたらもっといい、そういうふうな考え方が求められているのだと思います。

9 「総合的な学習の時間」を考える2つのポイント

もう一つのポイント、それが総合的な学習の時間です。これからの学校づくりの新しい問題提起だと思います。なぜか。それは、今までなかったからです。今までなかったものをつくったのですから、それは新しく変わると考えなければならないと思わなければなりません。この総合的な学習の時間というのはいったい何か、それはどんなふうに受け止めればいいのか、そして、それをやるにはどんなやり方があるのかこういうことが重要な課題であることはいうまでもありません。この「総合的な学習の時間」をつくったということについて考えるポイントは2つあります。

1つは「総合的な学習の時間をつくることに先生は、納得していますか」ということ、2つ目は「総合的な学習の時間にどう取り組んでいくか」ということを考えるということです。この2つを考えていけばいいのだと思います。

まず、納得しますかということについてですが、こういいますと「総合的な学習の時間」について研究されている方もいるでしょうし、聞きかじりの先生もいるでしよう。また、いろいろな受け止め方もあるでしょう。それでもいいのです。しかし、先生方が「総合的な学習の時間」をつくることについて先生方の心はいろいろ違ってるのだと思います。「先生方の心は晴れですか。曇りですか。雨ですか。」「よくわからん。雨です。」どこかに当てはまるでしょう。じゃ、それはなぜですか。なぜ雨なのですか。なぜ曇りなのですか。それを考えることがポイントです。その答えは、みんな同じ答えではないのです。一人一人が違っていいのです。「あなたはどうですか。それはなぜですか。」を考えてみてください。

この問題は総合的な学習の時間を考える第一の山だと思います。しかも、今考えてみなくてはいけません。この問題は素通りできません。

学校というのは授業をするところです。だから学校をよくするということは授業をよくすることだと考えて問違いありません。「いや給食の時間や休み時間だってあるでしょう。」と言


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