福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -016/042page

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連載コーナー

きざしへの気付きと初期の対応

教育センター教育相談部

127号 <不登校>
128号 <いじめ>
129号 <学級崩壊>

*登場する人物はすべて仮名です。

1 見えないいじめの芽 〈先生は校務多忙?〉

「忙しいときほど、生徒と一緒に……かあ」
大木先生は、E中学校2年2組の担任です。2学期になり、生徒会や部活動の指導で忙しくわずかな時間も、パソコンに向かうことが多くなっていました。
5組担任で英語科の三田先生が、大木先生に声をかけたのは9月中頃のことでした。

三田先生:近頃景子は元気がないようだけど、何かあったんですか。
大木先生:いや、別に変わったところは見られませんが……。

数日後、今度は生徒指導担当の長山先生が大木先生のところにやってきました。

長山先生:何か気になるんだけどなあ……
大木先生:はあ……。
長山先生:景子のことだけど、最近表情がさえないっていうか、声をかけても返ってこないし。

これらの情報をきっかけに、大木先生は現象面さえ十分に把握できなかった自分のゆとりのなさやかかわり不足について見直すことになりました。「もしかしたら、いじめがあるかもしれないという構えで様子を見ては」という長山先生の言葉が、大木先生の心の中で何度も繰り返されていました。

2 見えはじめたいじめの芽 〈生徒と共に〉

「忙しいときほど……」という学年主任の言葉を思い出した大木先生は、できるだけ生徒と過ごす時間を確保するように努めました。

朝は日直の生徒と当番の活動を一緒に行い、登校してくる生徒とあいさつを交わしました。景子は、登校時間がクラスの中でも遅い方で、入室時の表情は固く、話しかける友達もいないことがわかりました。

昼は給食の準備を手伝ったり、生活班で会食したり、昼休みは教室で雑談したりしました。景子は2学期に入って、直子たちのグループから離れて一人でいることがわかってきました。

放課後は、下校状況や整とん状況の把握に努めました。部活動を休みがちな生徒が出ている


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