福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -022/042page

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[3] 聞き手を考えて発表できたか。
(メッセージカードと自己評価から確かめる。)

[4] 表現上の向上が見られたか。
(学習の手引きを回収し発表原稿から確かめる。)

[5] 「表現2」の学習全体を通して、表現学習に対しての意欲の向上が見られたか。
(意識調査と自己評価から確かめる。)

[6] 国語学習に関する意識の変容が見られたか。
(事前・事後意識調査から確かめる。)

(2) 指導の概要と考察

[1] 「聞く力」の実態と正確に聴き取るための意識付けについて

生徒の「聞く力」の実態把握と正確に聴き取るための意識付けをねらい、次のような手だてを考え実践した。

○ 学習活動の中にメモを取る習慣を身につけさせる訓練

これは、話を聞くときに話し手に注目して聞く訓練と、話を聞きながら自分なりのメモを取る訓練とを並行して進めることから始めた。段階としては、第一段階「話を聞きながら、概要を捉え自分なりの解釈で書き込む。」、第二段階「相手の話の内容を理解し、自分の考えと比較しながら書き込む。」、第三段階「自分に必要な内容を整理し、考えながら書き込む。」の3つで考えていたが、生徒のノートやワークシートから判断すると、6割の生徒が第一段階であり、3割程度が第二段階である。メモを取ることが全くできないままの生徒が2名見られた。しかし、話を聞くときに真剣に聞かせるという目的は、ほぼ達成された。インタビュー活動を行う時において、必要不可欠な訓練であると考える。

○ 「listeningテスト」による「聞く力」の実態把握と意義付け

「listeningテスト」は、中学道徳「明日をひらく1」(東京書籍)の「いじめっ子の気持ち」を用いた。このテストから、生徒の聴き取り能力の実態を把握するとともに、生徒にとっては「相手の話をしっかりと聞くこと」が意義付けられたように感じる。「検証授業1」のインタビュー活動では、相手の話をしっかりと聴き取ることに重点をおき、不明瞭なところは何度か聞き直し取材するよう指導し、学習の効果が上がった。普段の学習の中でも、以前に比べて聞く姿勢が良くなり、理解の速度も速まった。

[2] インタビュー活動による学習意欲と表現活動について

自己評価から見ると9割以上の生徒が「積極的に取り組めた」の質問にAかBの自己評価をつけた。実際、学習活動中の生徒の表情も牛き生きとし、今までの小集団では見られない活発さがあったことを考えても、学習意欲の高まりがあったように思う。

表現活動においては、どの生徒も自分の体験の掘り起こしに戸惑っていたのだが、インタビューによる取材で読み手・聞き手の要求に気がついたことがうかがえる。「自分自身の体験を振り返り、印象的なことを書き出そう」という学習では、作文を書く際に見せる戸惑い「何を書いたらよいかわからない」が例に漏れず見られたのは事実であった。しかし、インタビュー活動によって、次から次へと出る質問は、読み手・聞き手の要求そのものであった。

[3] 聞き手を考えての発表について

自己評価の内容から見ると、「相手の身になる」「相手の気持ちを考える」という表現が数多く見られた。作文を書く場合、どうしても自分だけの世界になりがちである傾向を打破することをねらって考えた今回の学習計画であるが、


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