福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -029/042page

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グラフIII 調べたい情報は入手できましたか?

(2)考察

[1] アンケートの分析から

グラフI「文化史が好きですか?」の項目では、「大好き」及び「好き」と答えた生徒数が4→11と増加した点から、この学習方法が文化史に対するイメージを改善させることはできたと判断できる。

またグラフII「課題意識をもって授業に臨んだいますか?」の項目では、「とてもある」及び「たまにある」と答えた生徒数の伸びは11→15と増加し、さらにこの学習方法の結果、「全然ない」という答えは0になった。このことから、この方法が生徒の課題意識を高めることに有効だあると判断できる。

最後に、グラフIII「調べたい情報は入手できましたか?」については、「図書室に特別コーナーが設置されていたため、すぐに調べることができた」という意見が大多数であった。このことからも、調べ学習を行う際の事前準備としては有効であったと思われる。

[2] 生徒の感想から

生徒の感想から

この感想に見られるように、生徒たちは教師が予想していた以上に、生徒主体の学習に積極的な取り組みを示し、作品を仕上げ発表するという一連の流れの中で、達成感を味わうことができていたことがわかる。

IV 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ

「外国文化史」の学習において、生徒に課題意識を持たせる学習指導の工夫の手段として、これまでのプリントを綴るだけのファイルに、単元ごとに自分のテーマを設定し、調べてまとめる調べ学習用紙をも加味しながら、自分だけのオリジナリティーあふれる『マィ=ファイルノート』の制作に取り組ませてきた。アンケート結果からも判断するとおり、この方法は生徒の積極的参加を促し、様々な工夫をこらす楽しみを感じながら学習に取り組むことができたという生徒が増加したことから、当初設定した仮説は有効であったと考える。

2 今後の課題

(1) 今回の「中国文化史」に関する調べ学習は、担当教師と学校司書が2年がかりで本校図書館の中国史関係の図書を充実させてきたために実現可能となったが、他の分野に関する資料・図書は、中国史関係ほど充実しておらず、今後継続的に充実・拡大の計画を立てる必要があると考える。

(2) 総合学科高校である本校において、2年次以降のHR単位での授業はほとんどなくなってしまう。そのために生徒はHRへの帰属意識が希薄となり、仲間意識や連帯感を感じる機会が少なくなっているという一面があるのではないかと思われる。こうした事情を鑑みても、総合学科高校においては、それぞれの授業ごとに生徒たちが互いを認め合えるような機会を意図的に設けていく必要があると思われる。


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