福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -030/042page
研究紹介1
自主的・自発的な活動を回指した、選択制授業の改善
〜評価システムの活用と役割行動能力の育成をとおして〜
教育センター学習指導部 尾形 幸男
I 研究の趣旨
「生きる力」を育む課題解決型学習の柱として、高等学校の保健体育では「選択制授業」が強調されている。その「選択制授業」で「生きる力」にアプローチしていくためには、「生涯にわたって運動に親しむ能力と態度の育成」と「健康の増進と体力の向上」の二つが重要となる。そこで、まず生徒たちは「選択制授業」をどのように捉えているかを把握するために協力校でアンケート調査を行った。その結果、
○ 選択制授業の認識不足
○ 情意面のみで取り組む授業傾向
○ 専門性を高めようとする意欲の低さという状況が見られた。
これらは、各学校の「選択制授業」の条件が整っていなかったり、教師側が「選択制授業」を通して生徒に何を学ばせようとしているのかがはっきりしないからであり、特に生徒側が「選択制授業」を「自分の好きなことができる」という情意面で捉えることが多いのは、取り組みの意味を理解していないからだと考えられる。このような状況を改善していくためには、「選択制授業」への教師の積極的な支援が必要である。そして、生涯スポーツに結びつくための「選択制授業」の意義を理解するために、生徒一人一人が、各種運動の専門性の向上とそれを支える技能の習得、さらに運動を計画し組織する力と運動の環境を整える能力を伸ばすことが必要になってくると考えられる。そうすることで、生徒が「選択制授業」で自分たちのスポーツを自ら運営できる能力を身に付け、授業に対しても自主的・自発的に活動するようになり、最終的には「生きる力」としての「学力」を身に付けることになるであろう。
そこで、本研究は、「選択制授業」で生徒が選択した各種目において、評価システムを活用し、各自に役割を割り振ることにより、行動能力の育成を図り、高等学校保健体育科における「選択制授業」の改善に役立てようとするものである。
II 研究内容・方法
○ 先行文献等の調査研究
○ アンケート・ルールテスト内容の検討、実施と考察
○ 授業の実際、考察
○ 研究の成果と課題(1年次)III 研究の実際と考察
1 研究の見通し
(1) 生涯にわたって運動に親しむ能力と態度の育成を体育授業で図っていく中で、生徒が選択制授業の意義と必要性を理解するためには、教師の積極的な支援が必要である。その手助けとして、評価システムを活用したり、役割行動