福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.128(H11/1999.11) -033/042page

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・役割行動がそれぞれの種目の専門性を高めるのに役立ったと感じている生徒は64%に上った。選択制授業を生涯スポーツの足掛かりとして位置付けるのであれば、生徒たちの情意面だけでなく、種目の専門性も身に付けさせていく必要がある。そして、それが卒業後も何らかの形でスポーツに関わっていく要因になることができるのではないかと考える。それは、自分がスポーツを行うということだけではなく、スポーツを観たい(ルールを知っていることによって)という心情にもつながるのではないだろうか。

IV 研究の成果と課題

1 成果

(1) 生徒一人一人が学習活動の計画作成に携わり、自分の役割を自覚し、学習の主体者となるために役割行動を導入したことは効果的であった。これは、「生徒たちが立ててきた練習計画等を見てみると、内容が充実しており、生徒たちの選択制授業に対する期待の大きさを感じた。」といった授業者の感想や授業をより充実させようという意志が生徒たち共通の願いともなってきていることからもうかがうことができた。

(2) 授業後のアンケート結果から選択した種目の専門性を高めるためにも、評価システムは効果的であった。今回、自己評価表・相互評価表そしてルールに関するテストの導入も併せて実施したが、「自己評価表・相互評価表、ルールテストの実施により、種目の技能だけでなく専門的な知識の必要性を感じることができた。」という生徒の感想もあり、このシステムによって運動能力に加え、専門性の向上、態度や意欲に関する面等においても客観的な評価を行うことができるようになってきた。

(3) 生徒たちが選択制授業の意義と必要性を学ぶために、今回の評価システムと役割行動は効果的であった。

2 課題

(1) 評価システムと役割行動の事前理解  授業研究を始めるに当たって、教師、生徒が趣旨を理解できるよう詳しく説明しておく必要がある。

(2) 授業のマンネリ化を防ぐ  練習計画表を見ると、後半に練習が同じになるというマンネリ化傾向が見られた。

(3) 自己評価表・相互評価表の在り方

[1] 学習カードという形式に生徒が慣れていないため抵抗感が見られた。

[2] 相互評価をする時、互いに A 評価が目立った。これは動きや態度を見る視点がはっきりしていないためであろう。生徒の評価能力を更に高めなければならない。

[3] 自己評価表・相互評価表を記入する時間が十分に取れるよう工夫し、生徒自らが授業の流れを把握できるようにしなければならない。

以上の課題を改善し、来年度の研究につなげていきたいと思う。

なお、今回の研究に当たっては、福島県立福島東高等学校の三浦武彦先生をはじめとする保健体育科の先生方に授業実践、資料提供をしていただきました。

《参考資料・文献》

・「高等学校学習指導要領解説」
    保健体育編 体育編  文部省
・「中央教育審議会第一次答申」文部省
・「保健体育審議会答申」   文部省
・「どう変わる21世紀の学校体育・健康教育」
               大修館書店


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