福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -001/042page
巻頭言
“進みつつある教師”を目指して
教育センター次長 佐久間俊彦
いよいよ21世紀の入り口が迫ってきたことを実感します。その迫りくる21世紀は、国際化、情報化、成熟化、そして、高齢化、少子化など様々な変化の要因が、現在以上に社会を大きく変えていくのではないかと予測されます。
さて、中央教育審議会、教育課程審議会、教育職員養成審議会の答申が出揃い、この新しい時代を展望した教育改革の基本方向が示されました。その中では、教育の在り方、学校の在り方や枠組、その基本的な考え方の根底的な変革を共通に求めており、その変革の推進者として私たち教師に大きな期待を寄せています。つまり、変革の主導者として教師が位置付けられ、そのためには、教師の資質・能力の向上が不可欠であると強調しています。
答申の中で、教師の資質・能力の向上や研修の重要性が強調されているのも、教育改革の成否の鍵を握っているのは、教師自身の変革が最重要課題と考えているからに外ならないと思います。学校の教育力を高めていくためには、私たち一人一人が教育改革の意義をしっかりと受け止め、自らの教育力の向上を目指さなければ実現できません。
「進みつつある教師のみ、人を教える権利あり。(注:Diesterweg1790〜1866)」の名言を、今こそ不易の理念として心に深く刻み込む必要があると考えます。
ところで、研修は、教師にとってその職責を遂行するために欠くことのできないものであることに異論はないと思います。
研修の必要性が高まっている理由としては、次のようなことがあげられます。
○ 社会の変化、科学技術等の進展に対応した指導法等の研修
○ 教育課程改訂の趣旨に対応した指導内容、重点の置き方、指導法等の研修
○ 情報教育の進展に対応した指導法、指導技術等の研修
○ 生徒指導や進路指導、いじめや不登校等学校が抱える課題に対応した研修
○ 教育の専門家たるにふさわしい幅広い能力要請に対応した研修
研修は本来、各人の自主性に任せられるべきものであると考えますが、学校を取り巻く状況がこれだけ多様で変化に富み、高度情報化した中では限界があるので、研修の場を、教師のライフ・ステージに応じて広く積極的に求め、自己啓発を図ることが大切であると考えます。
そこで教育センターでは、このような研修への要請を踏まえ、私たち教師の力量向上を図る視点から、基本研修(初任研、経験者研修)の他に、39の専門研修(教育経営に関する講座10、教科指導に関する講座11、情報教育に関する講座13、教育相談に関する講座5 *詳細はP26〜34「研修ガイド」参照)講座を開設しています。
また、県内の優れた研究成果の普及を目的に“あなたの教育課題は何ですか。優れた実践に学んでみませんか。”をスローガンとして掲げ、「福島県教育研究発表大会」を開催しています。
今後も、教育センターの講座や研究発表大会などに「参加してよかった」と評価されるよう充実した研修の企画・運営に努めていく所存です。