福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -003/042page
提言されてきたと受け止めているか、また、学校の特色をどのようなものと考えているか、お話いただきたいと思います。藤田先生から口火を切っていただけますか。
藤田 なぜ「特色ある学校」が求められるようになったか、ということであれば、第1に「変化の激しい時代への対応」ということだと思います。特に、地方が主役の時代などと言われる現在、各地域が特色を出そうとしてくるわけなので、そこにある学校もまた、特色を出していかなければならないのだろうと思います。次に、学びのスタイルを知識の獲得から知恵の獲得へと転換していくことが求められてきているということがあげられると思います。そして3番目に、個性を生かした基礎・基本の確実な定着ということがあげられるでしょうか。変化の激しい21世紀を生き抜いていくためには「既知をもとに未知を拓く力」の育成が急務であると言えますし、そういう生きるための知恵を身に付けるには、学校・家庭・地域社会が相応に役割を分担し合い、相互補完の形で子供たちを育てていかなければなりませんから、子供たちや地域社会の実態に応じた教育活動を展開していく必要がありますし、その学校ならではの創意工夫が必要になってくるのは当然です。そこに「特色ある学校づくり」の意味があるのだと思います。
学校の特色をつくるのだからといって何かこれまでにまったくなかった特別なことを行わなければならない、などと考えるのではなく、学校・児童生徒・地域社会の実態に応じた教育活動を展開していけば自ずと「特色ある学校」になっていくと思っています。私の勤めている桑野小学校を考えてみると、本校は新興住宅地に昭和43年に設立された学校で、まだ創立33年目なのですが、33年経過して地域が変化してきています。と言いますのは、住民の出入りが多く、若い世代が多く入ってきていることです。そのことによって本校の児童数は現在の学年3学級から4学級に転ずるという推計もあります。学校のPTA活動などを見ても若いお母さん方が乳幼児を連れて参加されている姿が見られるような状況です。そのような状況の中で、本校は今年度から大規模な改修工事に入るわけですが、改修にあたって改修のテーマについてのワークショップが地域で開かれました。その時に、今の状況をかんがみて、小学校教育と幼児教育をつなぐ子育て支援という面を強く出していく施設に改造していただこうということで提案が取り入れられて今年度から改修がスタートいたします。そのようにして出来上がった施設を有効に使いながら地域に開かれた学校、さらには開かれた学校の中で幼児教育と家庭教育と小学校教育をつないでいくような教育活動が展開されるのではないかということを楽しみにしているところです。実際、これまでにも町内会と学校の子供会の一体化を図りましたし、それから町内会にお願いして学校便りを回覧板で町内の全世帯に回覧して、学校の様子をアピールしています。さらには、昨年度まで校庭で行っていた持久走大会を地区に広げて実施できないかということで地区の公園を中心とした緑地帯で大会を実施した結果、地区の住民の方々が多数ご覧になってくださって、今後も続けてほしいというような要望もありました。今後も学校で何をやっているかわかるような取り組みを実現していくことが学校の特色を理解していただく上で大切であると考えています。
荒海 特色ある学校が提言されてきた背景については藤田先生が言われたこととほぼ同じように考えています。中学校ということで少し加えさせていただくならば、いじめや不登校といった生徒指導上の問題がますます心配され憂慮されるようになってきており、学校を見る親の目には厳しいものがあります。そうした状況の中にあって、学校教育は相も変わらず画一的でマンネリ化した新鮮味のないままということでは、とても生徒たちの二一ズに応えているとはいえ