福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -009/042page
行事への参加ということで集団宿泊学習の登山の時にお父さん方や地域の登山経験者の方のご協力いただくことなども行われているそうです。このように、地域の人材を発掘し、活用することも大切であると考えています。
渡辺 小・中学校の教育では、『子どもの夢がかなう福島の教育』を指導行政の柱にしています。この「夢」という言葉の中には、自分の可能性や将来への憧憬、自己実現の展望が反映されると考えています。子供たちの「夢」の実現のために、学校、家庭、地域社会は何ができるかを総合的に考え、具体的な施策を構築しているわけです。学力の向上のためには、「ふくしまの教育ライジングプラン」において、小・中・高等学校と連続する学習指導を視野に入れた実践研究を推進しております。校種問の接続の在り方を十分に研究するとともに、それぞれの学校の置かれた状況を積極的に開いて相互理解を深めることが大事であると考えております。子供たちの成長を考えた場合、学校を開くことが大きな意味をもってきます。自校の教育を地域に開くと同時に学校間、校種間でも積極的に開き、交流することが重要だと感じています。
3 「特色ある学校づくり」を具現する手立てと総合的な学習の関係をどうとらえるか
司会 「特色ある学校」を具現する手立ての一つとして、というよりは、そのための唯一の手立てとして「総合的な学習の時間」があるかのように受け止められている傾向もあるように思えますが、どうなんでしょうか。
荒海 総合的な学習の時間というのは画一的な授業を変えて、生徒の実態などに応じて特色ある教育活動が行える時間だと考えてしまう傾向があるように思われます。その内容を選ぶ基準としては、子供たちの豊かな人問性をはぐくむ体験的な学習であることがあげられています。
荒海健二先生 内容を選ぶ場合に、生徒が試行錯誤できる時間を生み出すクロスカリキュラム的な学習や課題解決を通して得た力が、将来、困難な課題に直面した時に学習したことが十分生かされるような内容であることなど、目の前の生徒の実態や将来の社会を考慮して育成したい能力・態度や人間としての生き方といったものに合うような内容を考えていくことが必要でしょう。そのためには、教科等、総合的な学習の時間、学校行事を全く別のものと考えるのではなく、意図的に関連をもたせながら進めていくことも大切だと思います。
つまり、教科で獲得したものの見方・考え方が総合的な学習の時間に取り組む問題解決的な学習に生きて働いたり、逆に総合的な学習の時間に獲得した学び方などが日々の授業に役立ったりする。あるいは、日々の授業から生まれる総合的・発展的な課題を総合的な学習の時間に探究する、といったかかわりあいは当然生じてくるものと考えています。ですから、教育活動全般の中で進めるべきものだと考えなければならないと思います。また、先生方には「まずは授業が一番である。授業を充実させたり、工夫したりしていけば、子供たちのためにさらにもっと『〜したい』ということが出てくる。それを、選択や総合へつなげていけばいい。」と言っています。