福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -013/042page

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50人の子供たちを教育している姿はほとんど芸術的でさえある。」といった称賛の言葉を聞いたことがありました。しかし、総合的な学習の時間が設けられるに至るまでには、その効率的な各教科の指導のあり方が、逆に各教科の内容を教科の内部にのみにとどめ、教科間の知識を融合するような発想をおさえてしまっている、といった指摘があったようです。そういった閉塞性を打破し、創造性を培う学校知を生み出すための柔軟な教育課程の展開が求められていると言えるかと思います。各学校は、そして先生方は、どのような指導を目指すべきなのでしょうか。

藤田  児童の主体的な学習活動を中心に据えた取り組みが求められているわけですから、教え込み型から学び取る型へ授業の転換が必要だと思います。社会経験や自然体験を重視した学習活動を展開するためには学校・家庭・地域社会の連携が不可欠でしょう。その実現のためには地域へ学校を開いていく努力も要求されるでしょう。T・Tによる指導方法を取り入れたり、教師の個性や特性を活用しやすい組織に改編することも大切なことと考えています。そのような教育課程にかかわる創意工夫をするのと平行して、教師もまた教育に対する夢を語り、夢の実現に向けて努力する、そういった活動も必要だと思います。

今年度の本校の教育活動のスローガンを「動と共感」としました。感動体験の少ない子供たちのために、授業や学校の教育活動の中で感動体験を構築し、その感動を教師が子供と共有できる、そういった柔軟な姿勢を持って共にんでいくという夢を語りたいと思っています。

荒海  私の学校が閉塞性に満ちた八方ふさがりのような学校なのかと自問すれば、決してそんなことはないと言えます。将来の夢を持って日々がんばっている生徒もいるし、学校に来るのが楽しいと無欠席で勉学に励んです。けれども、その一方には、全く学校に来れない生徒がいることも事実だし、朝から元気のない顔をしている生徒も目にします。すべての生徒が生き生きと学校に登校してくる、そんな学校にしたいと思っていてもなかなか難しい、そんな状況であることは認めざるを得ないでしよう。

学校に希望を見いだせない生徒たちの心の問題を学校だけで解決してやれないことも事実です。生徒の欲求や能力、個性に応じて教育が推進されれば、変化と潤いの持てる学校生活にできれば、そういった生徒たちも学校に魅力を感じるようになるかもしれません。

今、私の学校では、コラボレーション 注1 を合言葉に各教科を横断したり、総合化したりして行う取り組みを少しずつ行っています。具体的にいいますと、昨年度は地域の伝統芸能集団(松川の太鼓グループ「愛宕陣太鼓連響風組」)の演奏と生徒たちが制作したビックアートのコラボレーションを実施しました。これは音楽と美術がまさにコラボレーション(共同制作)として織りなす壮大な空間が体育館一杯に表現されたもので、生徒たちだけでなく父兄や地域の方々全ての人々が感動の渦に巻き込まれ、制作に関わったそれぞれの教科の意味や価値を全身で体感することができたように思います。今年度は、全国的に活躍しているミュージシャンを講師にお招きしたり、信夫山のふもとに位置する本校の特色を生かして環境教育を推進するというコラボレーションも企画されています。また、職場体験学習の他に、「ふれあい学習」ということで特別養護老人ホーム訪問や卒業生の話を聞く会や講演会、保護者から職業についての話を聞く会などを行っています。

これからは、社会的な問題でもある環境や福祉関係の問題に、中学生という立場でどのよう


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