福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -016/042page
シリーズ
学力向上のための指導の在り方
〜学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究(中学校2年国語)から〜
教育センター学習指導部
はじめに
教育センターでは「学力向上」を目指した授業改善に資するため、平成6年度から調査・実践研究を行ってきた。
ここでは、昨年度より行ってきた実践研究から、「中学校2年国語」について述べる。
1 研究の視点
平成9年度までの調査結果、「言語事項I」(文法)が大きく全国平均を下回っており、中でも、「単語の活用の理解」が特に低いことが分かった。そこで、以下の視点で研究を進めた。
○文法の学習に対する生徒の抵抗感を取り除く。
○「単語の活用の理解」を高める手立てを工夫する。
2 実践研究
(1) 授業構想
あらかじめ準備された活用表を、与えられた課題(語)の活用語尾を書き入れて完成するというような文法の学習だけでは、生徒は、学ぶ意義が見いだせず、意欲を失ってしまうのではないかと考えた。
そこで、今回の研究では、動詞の活用の規則性について、活動を通して生徒自らが気付くことができるようにしたいと考え、次のような授業を構想した。
[1] 導入を工夫する
生徒に、動詞は後に続く語によって規則的な変化をするということに気付かせるため、次のような導入を考えた。
授業の冒頭に、「これから、今日の課題をノートに書きます。」「さあ、書こう。」「やっぱり書くのをやめようかな。」などと、寸劇のような形で生徒に語りかけながら、下線のついた「書く」を活用した言葉(続く語も含む)を書いたカードを黒板に提示していく。
このことにより、生徒は、動詞は形が変化するということに気付き、この時間にどのような学習をするかについて、大体のイメージをもっこともできる。
その際、後の学習活動を円滑に進めるために、活用語尾以下の色を、語幹の黒色とは変えて青色にして提示する工夫をする。
[2] 語幹カードを配付する
学習班ごとに封筒に入れた語幹だけが書かれたカードを配付する。(「聞く」と「飛ぶ」)
[3] 動詞を活用する
生徒たちは、教師の「言葉の形を変えよう。」という指示と、導入における教師のカードを手がかりに、班で話し合いながら、活用語尾と続く語を青ペンでカードに書き入れていく。
[4] カードを分類し規則性を見付けさせる
できたカードを全て黒板に磁石ではった上で、授業の目標である動詞の活用の規則性を整理するために、可能動詞や音便、方言等は別の機会に学習することを告げて省き、活用語尾を赤丸