福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -019/042page
連載コーナー
崩れる学級
〜はなれる心・つながる心〜
教育センター教育相談部
130号 小学校低学年の事例 131号 中学校の事例 132号 小学校高学年の事例 *登場する人物は、すべて仮名です。
1 田中先生の悩み 〜はなれる心〜
田中先生は、教職経験15年目の女の先生です。今年度は、久々に1年生担任となりました。4月に、33名の子供たちを新たな、気持ちで迎え入れました。
入学の日。田中先生は、入学式の子供たちの様子に驚きました。
・横や後ろを向いてじっとしていられない子
・突然大きな声を出して騒ぎ出す子
・いたずらされて泣き出す子特に、記念写真撮影では、整列することがなかなかできず、思っていた以上の時間がかかって一しまいました。
「今年の1年生は、手がかかりそうだわ。」
そんな予感がした一日でした。それから一週間。田中先生は疲労が募ってくるのを感じていました。というのも、自分の意図するような指導ができず、子供たちに振り回される毎日だったからです。
・授業中、勝手に教室を出てしまう。
・席の雌れている子と平気で話をする。
・物を取り合い、けんかをする。こんな行動をとる子供が、一人や二人ではありません。教室全体がそんな雰囲気なのです。田中先生は、それらの行動を見つけると、その度に注意をしました。
「今は、授業中でしょ。お話をしてはいけないんです。静かにしなさい。」
「どうして廊下に出るの』だめだっていってるでしょう。」
一人を注意すると、また別の子供を注意しなけれぱいけないということの繰り返しで、常に甲高い声で子供を叱りつけてぱかりいました。
しかし、子供たちの行動は改善されるどころか、ますます悪い方向に向かっているような感じがしました。
田中先生は、自分の気持ちから子供の心がますます離れていくような気がするのでした。
「このままじゃいけない。でも、どうすれぱいいのだろう……。」
2 斎藤先生との会話 〜様々な思い〜
4月半ぱ、田中先生は、生徒指導担当の斎蔭先生に話しかけられました。
斎藤「今皮入学した子供たちは、どうなの。校長先生や教頭先生も心配しているみたいだけど。」
田中「それが、子供たちが全く言うことをきかないんですよ。」
斎藤「そりゃ、大変だね。」
田中「本当にうちの学級の子供たちはどうしようもないんだから。」