福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -020/042page

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田中先生は、うなずきながら聞いてくれる斎藤先生に、たまっていた気持ちを吐き出しました。自分の学級のことは自分の責任と今まで一人で抱え込んでいた田中先生は、夢中になって話していました。そして、話し終えた時には、少しすっきりした気持ちになっていました。

その後、斎藤先生から、次週行われる生徒指導委員会に話題として出さないかと話がありました。田中先生は、他の先生方の考えも聞いてみたいと思い、承諾しました。

けれども、斎藤先生と話した後、一人になった田中先生は、複雑な心境になっていました。

教室の様子 「確かに自分の思っていることを話してすっきりした。でも、何だか子供の悪い面ばかり話してしまったわ……。そういえば、最近、子供のよい面を見ようとしないで、逸脱した行動にばかり目がいっていたような気がする。うちの学級にも頑張っている子はいるのに……。」

様々な場面やできごとが思い出され、田中先生の心はゆれ動くのでした。

3 生徒指導委員会での話し合い 〜仲間の協力〜

4月下旬の生徒指導委員会では、まず田中先生が学級の様子を話しました。その後、参加した先生方で意見交換をしました。

教頭 「田中先生。学級の子供たちが言うことをきかなかったり、騒がしくなったりする時 は、引き金になっている子供がいることが多いですが、そのようなことで誰か気にな る子供はいませんか。」
田中 「そういえば、高橋君の行動をきっかけとしてざわつきが大きくなることが多いよう な気がします。高橋君は、周りのことを考えないで、すぐ自分勝手な行動をとるんで す。思い通りにならないと暴れることもあります。」
遠藤 「私は、高橋君のお姉さんを担任していますが、実は、高橋君の家はお母さんも働い ていて帰りが遅いようです。子供だけで夕飯を食べることもあるみたいですよ。もし かすると、家で満たされない思いがあるのかもしれませんね。」

生徒指導委員会では、田中先生が少しでも指導しやすいように、次のような援助を行っていこうということになりました。

田中先生は受容的に接することを心がけ、必要に応じて教頭も個別指導に加わる。
暴れたり泣いたりというパニック的な行動があった場合は、落ち着くまで養護教諭が保 健室で面倒を見る。
教頭や生徒指導主事も始業前に教室外で遊んでいる1年生を見かけたら、あいさつとと もに、朝の準備などについても一声かける。
授業中廊下に出るなど逸脱した行動を見かけたら、どの先生も子供に「いけないことだ」 と話し、学校の生活の決まりをその場で教える。

また、担任としては、特に配慮が必要な高橋君に対しての情報をさらに集めるとともに、保護者との話し合いの場を設け、高橋君の心の理解に努めることになりました。

4 お母さんとの懇談 〜親との連携〜

5月上旬、田中先生は高橋君のお母さんと学級懇談会の後の時間を使って話し合いの場を持ちました。


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