動が少なくなってきたことに気が付きました。心が安定し、生活にも落ち着きが表れるようになってきました。
また、次第に学級の雰囲気にも変化が表れるようになってきました。
4月に田中先生が一番困っていたのは、授業中の勝手な出歩きでした。教室内を歩いてしまう子供はまだいますが、田中先生と目が合うとあわてて席に着くようになりました。また、廊下に勝手に出てしまうという姿は、みられなくなりました。
朝着替えてから遊ぶという約束も次第に身に付いてきました。また、今でも他の学級の先生が通りかかると、着替えをするよう一声かけてくれています。
その結果、落ち着いた雰囲気の中で一日のスタートをきることができるようになりました。また、休み時間に田中先生の周りにくる子供たちの数も増えました。思い思いに話をし、田中先生とのふれあいを楽しんでいるようです。
田中先生は、今回の取り組みを振り返って、次のようなことを考えています。
「初めは、学級の崩れを子供たちのせいにしていたけれど、何の解決にもならなかった。でも、子供たちも変わった。そして、子供たちによって自分も今までより成長したのかもしれない。」
今現れている小さな改善の兆しを大切にし、さらに大きくしていこうと思いました。
低学年の学級崩壊への対応のために
田中先生の学級は、入学した後もしばらく「学級がうまく機能しない状況」が続きました。1年生でその状況が続く場合は、「学級集団の未形成状態」と考えられます。これは、低学年の学級崩壊の一つの特徴と言えます。 |
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田中先生の学級には、自分の「思いのまま」行動してしまう高橋君という子がいました。高橋 君の行動が「引き金」になっていると考えられますが、その行動に「同調する周りの子の存在」 によって、学級集団の未形成状態が継続してしまったと考えられます。 |
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田中先生は、自分の学級のことだからと一人で悩んでしまいました。しかし、「同僚の朱生方 の協力」を得ることによって心が軽くなりました。担任の先生が一人で悩まないような「学校の 態勢づくり」が必要たなります。 |
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田中先生を支える手立ての一つとして、教頭先生が必要に応じて個別指導に加わることを取り 入れました。これは、教頭先生が父性の役、田中先生が母性の役という役割分担をすることによ り、低学年の子供の甘えたい気持ちを担任の先生が「受容」しやすいように配慮しました。 |
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低学年の場合、基本的なしつけがなされないまま入学してしまうことも、指導の困難さを生む 一つの要因になります。入学前のオリエンテーションで「家庭でできること」をお願いしたり、 幼稚園や保育所等と「情報交換」したりすることも必要になってきます。 |
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高橋君の場合、お母さんがふれあう場面を作ることにより心が安定し、学校での行動にも改善が みられました。子供の行動のみにとらわれず、「なぜその行動をとるのか」を理解していくことが 大切です。 |
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