福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -023/042page
研究紹介
子供の活動意欲を高める家庭科学習の指導
〜「試す」活動を通して〜
保原町立保原小学校教諭 宍戸 広子 (前 霊山町立掛田小学校)
I 主題設定の理由
家庭科での学習の様子をみてみると、初めは意欲をもって取り組むが、意欲が長続きしなかったり、実習では、準備物を忘れてきたり、分担した仕事を人任せにしたりする子供がみられる。その反面、家庭で試し作りをしてから実習に臨むなど、学習に税極的な子供もいる。全体的にみると、学習したことを基に、生活をよりよくしようとする意欲をさらに育てていかなけれぱならないと感じている。
また、実態を把握するためのアンケートの結果から、生活経験が大変少ないことが分かった。家事の電化等により、家事の省力化がなされ、子供たちの実践の場が少なくなったことや、親の価値観の多様化にともない、子供に家事をさせなくなったことも一因と考えられる。
また、アンケートから、核家族化によって、一緒に食事や話をするといった、家族のふれあいの場がなかなかもちにくくなっていることも明らかになった。家族や地域の人々との関わりも浅く、家庭生活の大切さや家族の一員としての温かい心遣いや工夫などには、十分気付いていない子供が多いと考えられる。
したがって、このように生活経験が少なく、自分の家族への気迫いもまだ低い子供たちが、家庭科の授業で、意欲的に活動するためには、自信を」もたせることが前提となるのではないかと考える。そこで、どの子にも自信をもたせる手立てとして、実際にちょっとやってみる場や機会を、「試す」活動として授業に取り入れることはできないかと考えた。「試す」ことで自信をもち、意欲的に活動できる子供を育てていきたいと考え、上記の研究主題を設定した。
II 研究仮説
1 研究仮説
題材の中に「試す」活動の場を位置付けることにより、子供は学習課題に気付き、学習の見通しを持つことができ、自信をもって意欲的に活動することができるようになるであろう。 2 仮説のための理論
(1) 「試す」活動の場を位置付けるとは
子供にとって1回で行うということは、とても抵抗を感じるものである。そこで、「試す」活動の場を設定することで、失敗しても大丈夫という安心感が得られ、その後の活動に自信をもって取り組むことが予想できる。
「試す」活動は、指導計画や子供の実態に応じ、次の場面を選ぴ位置付ける。
・学習課題作り
・レディネス把握・課題解決
・安心感のある実習への取り組み