福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.130(H12/2000.7) -032/042page
[2] 授業でのつまずきへの対応
⇒プリントつづりへの回帰[3] 前時までの確認と今後の発展性
この学習プリントは前時までの学習を振り返る『学習の手引き』的な役割を果たし、授業でつまずいたときに自主的に調べて答えを導き出すために利用する。分からないことを自分で調べることにより疑問点が明確になり、そこに的を絞って質問をすれば理解が容易になる。それを繰り返し行うことでつまずきを少しずつ克服し、自主的に調べて学習する習慣も身に付く。
授業中は自分の身近に学習プリントを置き、常に振り返ることができるように指導する。
(3) プリントつづりとは
生徒が自分の2次関数の手引きを作成し、常に参照できるようにするためにプリントのつづりを作り、上記の『支援プリント』、『学習プリント』やグラフをかいたプリントをつづらせ、つまずいたときに自主的に『プリントつづり』に戻らせて考えさせる。それを繰り返すことで、今までの個別指導を待っ受け身の姿勢から自ら問題を解決しようとする意識が生まれてくると考えた。
III 研究の実際と考察
1 研究方法・内容
(1) 数学の学習に関する生徒の意識調査と実態把握 (2) 2次関数の基礎・基本の分析と『支援プリント』の検討 (3) 学習内容の定着とつまずきへ対応した『学習プリント』と『プリントつづり』の作成 (4) 形成的評価の活用と生徒変容の把握 2 検証授業計画
(1) 単元名 「2次関数」
(2) 学習指導計画
時間 学習内容 評価の観点 仮説とのかかわり 2 支援プリントによる事前テストを実施し、確認する。 関数の基礎・基本が定着しているか。 支援プリントで基礎・基本の確認。
【支援プリント】4 関数の概念を理解し、関数の値を求める。1次関数の性質を理解し、グラフをかき、定義域、値域を知る。 関数について知り、関数の値を求められるか。1次関数のグラフをかけるか。 関数の基礎・基本の定着に努める。 12 y=ax 2 、
y=ax 2 +q、
y=(x−p) 2 、
y=a(x−p) 2 +q
の性質を知り、グラフをかく。
x=ax 2 +bx+c の式変形を行い、グラフをかく。グラフの平行移動を理解し、その性質をおさえ、グラフをかけるか。 学習プリントを利用して基礎・基本を確認し、授業を展開。つまずきの対応はプリントつづりへの回帰。
【学習プリント1、2、3、4】
【確認テスト1、2】
【検証授業1】5 2次関数の最大値・最小値を求める。限られた定義域での最大値・最小値を求め、最大値・最小値の応用問題を解く。 グラフを用いて最大値・最小値が求められるか。 時折、前の単元での基本的な既習事項を確認しながら授業を展開。
【学習ブリント5】
【確認テスト3】
【検証授業2】15 2次関数のグラフと2次方程式の関係を理解し、X軸との交点を求める。グラフを利用して2次不等式を解く。 2次関数のグフフと2次方程式の関係を理解できるか。 2次関数の分野の総合的な学習となるためより丁寧な指導が必要。
【学習プリント6、7、8】
【確認テスト】13回3 検証授業の実際と考察
(1) 検証の観点
[1] 『支援プリント』、『学習プリント』を利用した授業が関数の基礎・基本の定着に有効で あったかを事前・事後テストの結果等から検証する。 [2] 授業でのつまずきに対して『プリントつづり』で振り返ることは、つまずきを解決する ために有効であったかを生徒のアンケートと授業観察から検証する。 [3] 『プリントつづり』を活用した授業展開は、生徒の2次関数に対する苦手意識を好転させ るのに有効であったかを生徒のアンケートから検証する。 (2) 検証授業の概要
[1] 検証授業1
ア 検証授業までの指導
y=ax 2 の対応表やグラフの理解度をみると、事前の定着率は30%しかないため、学習プリントを作成して何度もグラフのかき方を指導