福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -036/042page
研究紹介
豊かな人間関係をはぐくむ指導援助に関する研究
〜人間関係をつくる力の育成を通して〜
教育センター教育相談部
I 研究主題について
不登校やいじめ等の問題は、年々増加、深刻化の傾向にあり、対人かんけいでの希薄化や体験不足にその要因が認められる。このような現状から、互いを受け入れ、支え合う人間関係をはぐくむことが児童生徒の自己実現に欠かせないものととらえ、標記の主題を設定した。
「人間関係をつくる力」は、基本的信頼感を土台とした「自己肯定感」「他者とのかかわりを深めたいという思い」「思いを伝える技能」の3つからなると押さえた。
II 研究の実際
本研究は、平成9年皮からの継続研究である。ここでは、自己肯定感を高める指導援助を中心にした2年次研究の一部を紹介する。
1 「自己肯定感」
「自分は○○がよい、□□ができる」「認められている」という自分に対する肯定的な受け止め方(自己肯定感)は、児童生徒一人一人に満足感や充実感をもたらし、一層の活動意欲や協力的態度を高める。また、そのことによって、学級の人間関係が深まり、児童生徒の自己実現が促進されることにもなる。
2 「自己肯定感」を高める指導援助
授業での発言が少ない、または、協力的な活動が自主的・自発的に行われないといった背景に、自己肯定感の低さ(自信がない、友だちにどう見られているか不安等)がある。
したがって、自分や友達のよさ、独自性に気付いたり深めたりする指導援助を充実させることが大切になる。そのためには、教師や友人からの肯定的な働きかけが不可欠であり、そうしたかかわりの中で人間関係の深まりが期待できる。
3 自己肯定感を高める授業実践(小学校中学年)
(1) 授業のねらい
自分や友達のよさに気付かせたり、深めたりする活動を通して、肯定的に認め合える態度をはぐくむ。 (2) 事前の準備
[1] 児童が、学級の友達一人一人のよさを、学級等を活用し、具体的に記入する。
[2] 教師が[1]を活用し、補足を加えながらまとめ、各自のよさを3点に絞って「よいところイメージカード」を作成する。
※ 3点目は、その人らしさが表れる内容にし、だれのことかを予想しやすいものにする。