福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -035/042page
けるコンピュータのさらなる普及、活用を待たなければならないであろう。また、基本的知識をもっていたとしても、編集のシステムに対する理解や、ソフトウェアの技術的習得にかける時間は、当然のことながら必要となるが、その場合でも美術教育における表現の一手段としての機材活用であることを念頭に、授業が単なる技術面のみの理解や習得に終わらないよう留意すべき必要があると思われる。
作品 A
作品 B その他、著作権の問題に関しては、中学校においては技術・家庭科の技術分野、高等学校では新設される情報科で主に扱うものと思われるが、美術の授業でも押さえなければならない内容である。
3 「映像メディア表現」の展望
時間的要素をもった映像作品は、平面や立体作品と比較して全体像の把握が難しく、扱いにくい素材である。今回の授業実践でも、生徒全員がいろいろな問題に突き当たり、つまずいた。しかしながら、その中にも予想以上に様々な発見や驚きがあったことがアンケートの回答からも読みとることができた。また、次回はどのような作品を作りたいかという設問には、ゲームのCMやミュージック・クリップ、短編映画など、ほとんどの生徒が明確に回答し意欲を示している。
「映像メディア表現」の学習活動で芽生えるこのような知的好奇心は、美術の授業にとどまらず、学校においてはビデオによるレポート作成や課外活動の記録、また総合的な学習の時間での活用へと発展することも考えられる。それらの活動が、映像表現に対するさらなる理解の深まりや、次なる制作への意欲を育み、やがてはメディア社会に主体的にかかわる力を形成することになるであろう。
なお、本研究の授業実践、および資料の提供にあたっては、福島県立光南高等学校、今泉勝行先生、木村康夫先生にご協力をいただいた。