福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -017/042page
生でした。
坂本先生は、主任としてのプライドやプレッシャーもあり、相談することを迷いましたが、そんな高橋先生に思い切って話をしてみました。
高橋: 1組さんが大変なのに何もお力になれなくて済みませんでした。 坂本: そんなことはないわ。今目、先生に話をよく聞いてもらえて、励まされたわ。 坂本: 今度、先生の学級の授業を見に行ってもいいかしら。 高橋: 坂本先生に、見ていただいて色々と教えていただけれぱうれしいです。 高橋先生の国語の授業は、それは変化に富んでいて子供たちを引きつける授業でした。高橋先生がいろんな場所から素早く出す既習の漢字のフラッシュカードを子供達は見逃さないように必死で見つめます。希望して音読した子供に対して、良かった所を的確に見つけ伝える高橋先生。主人公の気持ちを読み取る場面でも、「A子さんと同じように考えた人はいないかな。」と問いかけ、言葉で発表できなくてもどこかでは挙手でき、だれもが参加できるような授業。
学習している子供たちの顔を見ていると坂本先生まで楽しくなってきました。そして、自分も6年1組の子供たちとこんな授業がしたいと心から思いました。坂本先生は、最近子供たちのがんぱりやいいところを見つけてほめるということをしていなかった自分に気付きました。また、毎時の授業で工夫や準備に力を注いでいなかったことも反省しました。
若い高橋先生と6年2組の子供たちから、坂本先生は授業での大切なことについて、改めて気付かされたのです。校長先生が話されたことの意味するものが分かりかけてきたような気がしました。
5 授業の見直し、そして子供たちとの根比ぺ
坂本先生が授業を見直してみようと考えた時、一番はじめに浮かんできたことは、どの子も活躍できる授業の展開でした。放課後、隣の高橋先生に相談しながら授業の準備をする坂本先生の姿がよく見かけられるようになりました。子供たちの興味・関心を高めるような挿し絵を作ったり、分かりやすくまとめやすい板書の工夫をしたりしました。また、子供たちの話を聞いたり、アンケートをとったりして実態を十分とらえ、それを授業に位置付けることにも努めました。意見や発表を求める時は、考える時間を十分にとり、素直に出てきた言葉を大切にしました。また、つまずいている子供たちには個別に指導できる場を設定する努力もしました。
子供たちのことを思い、どうにかしたいとがんぱる坂本先生とそれを応援する高橋先生をはじめとする先生方。相変わらず反抗的な熊度をとり続ける子供たち。一度、頑なになった心を解きほぐすのはなかなか大変です。そんな中、坂本先生の頭の中に浮か々できたのはM男たちのグルーブのことでした。
M男たちのよいところを見つけてなんとか授業の中で生かせないかと考えました。
坂本: M男君は体育が好きだったよね。 M男: ……好きだよ。いつも説教が多くて時間がもったいないと思っているけど。