福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -019/042page
研究紹介
話し合い活動において、自分の考えを適切に表現できる子供を育てる指導
〜発表メモと友達のよさを見付ける相互評価カードの活用を通して〜
会津若松市立城西小学校教諭 佐藤 俊一
I 主題設定の理由
国語科の基本的な目標は、理解力と表現力を育成することである。すなわち、国語を正確に理解する能力を育て、また、国語を適切に表現する能力を育てていくことが、小学校国語科の学習指導の主眼となる。
本校の現職教育は、国語科と道徳と情報教育の三領域で研究を行っている。共通しているテーマは、「学び合いと友達とのコミュニケーション」ということである。これを受けて、国語科では、表現力の向上を今年度の重点としてあげている。しかし、本校の児童の実態は、理解に関しては学年による大きな格差は見られないが、表現に関しては、学年が進むにつれて自分の意見を発表したり、作文として表現したりすることに抵抗感をもつ児童が増えるという傾向が見られる。これは、授業の中で、話すことの基本を学年の段階を追って身に付けさせなかったことに原因があると考える。
【発表に対しての意識調査】
また、教師の観察からも次のようなことが指摘された。
○ 自分の考えや思いをうまく伝えられずに、表現活動が消極的な子供が見られる。
○ 学習した漢字や語句や表現方法等が、作文などの表現活動に現れていない。
このような状況を改善していくためには、授業のなかで、自分の考えを述べる場を多く設定して、まず話すことに慣れさせ、その上で、話し合いの仕方をそれぞれの学年に応じて、しっかりと身に付けていくことが大切となってくると考える。
そこで本研究では、自分の考えを発表メモにまとめ、それをもとに話していくことと、友達の考えのよいところを学んでいくための相互評価カードを使う活動を取り入れることによって、自分の考えを適切に表現できる児童が育てられると考え、本主題を設定した。
II 研究仮説
1 仮説
話し合い活動において、自分の考えをメモにまとめる活動と、お互いのよさを相互評価カードで見付ける活動を組み込むことにより、自分の考えを適切に表現できる力が身に付くであろう。