福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -022/042page
[2] 検証の観点B(なるほどカードの活用)
ア 検証授業1
どのように話せぱよいか学習する上で、友達の発表を聞くことは大変大切になってくる。その観点から「なるほどカード」を活用したことは、友達の発表のすぱらしいところやまねしたいところを意識して話を聞く上で大変有効であった。
【なるほどカード】
イ 検証授業2
話し合いのなかでは、なかなかつけたしや反対意見が言えなかった子供も、この「なるほどカード」の中には、「つけたします。」や「いい意見だと思いました。」「なるほどと思いました。」という言葉が見られた。
[3] 検証の観点C(児童の意識の変容から)
6月に行ったアンケート調査と同じ調査を検証授業2が終わった後に行った。その結果、話すことに対しての抵抗感は少なくなってきた。
【事前と事後の意識調査の変容】
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1) 発表メモを使うことによって、自分の発表したい内容を整理して話すことができるようになった。特に、話す順序を起承転結でメモを作ることにより、聞き手に内容がよく伝わるようになった。
(2) なるほどカードによって、聞くことを意識させることができた。話す活動は、聞く活動と切り離しては考えられない。友達の発表を聞くことにより、自分の考えを深めることができるようになった。
(3) 自分の発表を友達が真剣に聞いてくれ、認められることにより、発表をとても意欲的に行う子供が多くなった。さらに、国語の学習全体に対しても「好き」と答える子供が増え、学習への意欲が高まった。
(4) 大きな声で、はっきりと話すという、基本的な技能が、どの子にも身に付いてきている。
2 今後の課題
(1) 「話すこと」と「聞くこと」の関連をさらに研究して、発表メモと「なるほどカード」のつながりを考え、それぞれのカードを子供が使い易いように工夫する。
(2) 「話す」ことそのものを目的とした授業と「話す」ことを通して文章理解を深める授業においての話し合いの仕方をきちんと区別し、それぞれにあった話し合いの方法を子供に身に付けさせる必要がある。
(3) 話し合い活動は、記録として残すのが難しい。子供にも自分の変容がよくわかるような学習活動の累積方法を工夫する必要がある。また、評価を工夫し、どのような話し方がよいのか、客観的に判断する基準を作る必要がある。