福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.132(H13/2001.2) -026/042page
C (多数の児童が口々に、)B・A・C。B・A・Cだよ。 C B・C・A。(の声も聞こえた。) [2] 小グループごとに教材を与え検討させる。
児童は、音声を再生しながら、3枚のカードを、聞き手として分かりやすい順番に並べ替えていた。
「Aを、もう一回聞かせて。」と繰り返し聞いたり、「違う。逆だ、逆だ。」と順番を入れ替えながら聞いたりしていた。また、「それは、ジャイアンツの松井選手のように……。」と、指を折りながら確認するようにつぶやく児童や、聴いた内容をノートに書き写して根拠を見付けようとする児童も見られ、意欲が伝わってきた。
そして、この話し合いの中で、結論の部分を最初に話した方が聞き手にとって分かりやすいこと、次に理由を言った方がよいということなどが意見として出てきた。
児童は、このようにして、話すときも文章を書くときと同じように、構成を工夫することが大切であるということに気付くことができた。そして、この学習を生かして、自分の「将来の夢」のスピーチの構成を工夫しようとしていた。
次時にパソコンを使って録音したときには、普段、ほとんど話さない児童や教師の手厚い支援が必要な児童も含め、全員が自信を持ってマイクに向かうことができた。
V 考察と研究のまとめ
1 考察
(1) 単元の導入において、ゲーム的要素を取り入れた教材提示の工夫をしたことにより、話すことに対する児童の意欲を高めることができた。
(2) 音声言語での教材を分割して提示したことにより、スピーチの組立てを工夫しようとする課題意識を持たせることができた。
(3) 本の著者に電子メールの添付ファイルでスピーチを送ることにしたことで、目的意識や伝え合う相手意識を持たせることができた。
(4) スピーチメモの用紙を配付することにより、自分の考えを生かし工夫することができるようにしたが、方法や形式など、さらに工夫が必要である。
(5) 「話すこと・聞くこと」についての系統性及び学年内での指導計画については、さらに研究が必要である。
2 まとめ
「話すこと・聞くこと」の指導においては、教材とその提示の方法を工夫すれば、児童は、明確な課題意識をもち、学習に取り組み、「話す力」を獲得していくということが明らかになった。
なお、本研究の授業実践、及び資料の提供にあたっては、双葉郡富岡町立富岡第二小学校、亀岡由美子先生にご協力をいただいた。