福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -003/036page
平成14年4月から実施される。もっとも,それは小,中学校についてのことであり,幼稚園,盲学校,聾学校,養護学校については,平成12年4月から新しい教育要領と学習指導要領が施行されている。また,小,中学校についても,12年4月から移行措置の期間に入っており,新しい学習指導要領に基づく教育が既に部分的に実施されている。高等学校については,12年4月からの移行措置を経て15年4月から学年進行によって施行されることになっている。
改めて指摘するまでもなく,学習指導要領は学校において編成され,実施される教育課程の基本的な枠組みを国(文部科学大臣)が定める教育課程の基準として示したものであり,学校における教育活動の内実を決める上で重要な役割を果たしている。また,教科書検定や高校,大学などの入学試験問題についても,検定のための基準や問題作成のための基準として,重要な役割を果たしている。このように,21世紀初頭の恐らくは10数年間における学校の教育課程や教育実践の基本的な枠組みが,今回改訂された新しい学習指導要領によって決められることになる。
今回の基準の改訂には,教科等に充てる授業時数の縮減や教科内容の大幅な削減,「総合的な学習の時間」の創設,中,高校におけるクラブ活動の廃止など,これまでの学習指導要領の改訂には見られなかった重要な意味をもつ改善が含まれているが,そうした改善が図られたことと関連して,それぞれの学校において教育課程を編成し,実施する場合に,地域の特色や教育力を生かすという観点をこれまで以上に重視し,その具体化を図ることの重要性が改めて強調されたことも,見落とすことのできない点である。
こうしたいわば「地域に根ざす教育」という言葉で表現することのできる学校教育の実現を図るために,各学校が取り組むべき具体的な課題として,次のようなことを挙げることができる。
(1) 学校の教育目標を設定する場合に,地域の実態を踏まえ,その特色や教育力を生かすという観点をこれまで以上に重視する。
(2) 今回の改訂では,学校の創意工夫を生かした特色ある教育課程を編成し,特色ある教育活動を展開することができるようにするという観点から,思い切った基準の大綱化,その弾力的な運用が図られた。
例えば,@教育内容を厳選するとともに,取り扱うべき教材について細かく指定することを行わないこと,A授業の1単位時間の長さや時数の運用などについて学校裁量で決めることのできる幅が拡大されたこと,B小学校では,クラブ活動について,それぞれの学校において適切な授業時数を充てることとされたこと,C中学校では,選択教科の種類や内容,授業時数についてそれぞれの学校に大幅な裁量が認められたこと,D高校については,卒業に必要な修得総単位数や必履修教科・科目の合計単位数などの縮減が図られ,それぞれの学校で特色ある教育課程を編成しやすくなったこと,E学校設定教科,学校設定科目をそれぞれの学校の判断で設けることができるようになったことなどは,いずれも,学校の創意工夫に