福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -006/036page
とができるかどうかということが,21世紀初頭の我が国の教育改革の成否を決める鍵になると言っても,過言ではない。
「総合的な学習の時間」における子供たちの学習活動を豊かに,充実したものとして展開させるための一つのポイントは,この「時間」の学習活動の計画や展開に際して,地域の自然,文化遺産,伝統,生活,人々,施設や機関などを教育資源として効果的に活用するという発想に立つことである。実際,文部省編『特色ある教育活動のための実践事例集〜「総合的な学習の時間」の学習活動の展開−(小学校編)』(教育出版,平成11年)やその『(中学校・高等学校編)』(大日本図書,平成11年)などに見られるように,総合的な学習に関する多くの先駆的な実践がこの特色ある教育活動と地域との間に密接な関係をつくることの重要性に着目して,地域の物的,文化的,人的資源を効果的に取り入れ,地域の特色を効果的に生かした学習活動を構想し,展開している。ちなみに,前掲の『(小学校編)』には60校の実践例が掲載されているが,そのうち24校が学習活動の内容として「地域」に関するテーマを取り上げている。また,中学ついては23校中「地域」を取り上げているものが12校,高校については14校中9校が「地域」に関するテーマを取り上げている。
総合的な学習を構想し,展開する場合に,この学習と地域との間に密接な関連をもたせることが重要であるということに着目されることの理由は,主として,次のような三つの点に求められる。第一は,地域は子供たちの日常的な生活世界そのものの一部であり,子供たちにとって身近で,親しみがもて,分かりやすく,興味がもてる対象である。総合的な学習を地域から立ち上げることによって,自発的で主体的な学習を誘発し,推進することができる。このことは,自ら学び,自ら考える力の育成を図るという「総合的な学習の時間」のねらいを達成する上で好都合である。
第二に,地域は人類社会や日本社会の縮図であり,地域に生起している現象や事象は複合的な性質をもっており,その現象や事象に関するテーマを追求することを通して教科等で学んだ知識や技能などを総合的に応用し,主体的に問題を解決する能力を育てることができる。「総合的な学習の時間」の指導のねらいは,外でもない,そうした主体的で,総合的な問題解決の能力の育成を図るということに置かれている。第三は,地域に関する学習を通して,理論知と実践知,学校知と生活知,非日常知と日常知との結びつきを図ることができるということである。地域は理論的に学んだことや学校で学んだことを実践し,実際の生活に生かすことができる格好の場であり,知の総合化を実践するための格好の舞台なのである。
総合的な学習を組織し,その展開を図るためには,総合的な学習に対して地域がもつこうした特色や機能を効果的に生かすようにするという観点からの取組が求められる。その具体的な方法と留意点について,以下では,五つのことを指摘する。
第一は,学習のテーマや学習活動の内容として,地域の何を取り上げるかという問題である。一般的な言い方になるが,やはりその