福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -007/036page
地域の特徴的な事物や事象,人材や生活様式などを取り上げることが,子供たちに学習することの意味をはっきりと分からせるという点からみても望ましいと思われる。
そうした選択が効率的に行われるためには,学校は,地域の教育資源について,あらかじめ把握しておくことが必要である。学習に活用することができる自然,協力してもらうことができる人材や機関,歴史的,文化的な遺産,利用することができる公共的な施設などについて,教務委員会や研究部などが中心になって情報を収集し,整理しておくことが必要である。できれば空き教室などを利用して,総合的な学習に取り組むための「カリキュラム開発室」といった部屋を設け,地域研究や総合的な学習を開発する活動の拠点としたい。
第二は,地域の素材や資源をどのような観点から活用するかという問題である。一般的に言えば,この問題に関しては,三つのタイプがあると考えられる。「米作り」,「○○太鼓」,「△△川の水質調べ」というように,まず個別の活動から入り,総合的な学習を立ち上げるという方法が考えられる。もう一つは,環境問題,国際理解に関する問題,福祉問題というようにあるテーマが決められ,そのテーマにアプローチする手段として地域の素材や資源が活用されるという場合である。「地域で学ぶ」というタイプである。第三は「地域を学ぶ」というタイプである。地域に関する全体的で,総合的な探究と理解が求められることになる。ごく大まかに言えば,第一のタイプは小学校向き,第二のタイプは中学校向き,第三のタイプは高校向きということになるであろうが,いずれのタイプでの取り上げ方を選ぶにせよ,どういう観点から,何のために地域の素材や資源を学習の対象や教材として取り上げるのかということを明確にしておくことが必要である。
第三は,地域に関する客観的な知識を習得させることに指導のねらいを置くのではなく,学んだことを日常生活に応用し,実践するとともに,自己の生き方についての関心を高め,人間としての在り方生き方を考えさせるようにするということである。このことの重要性はいくら強調しても,しすぎるということはない。内容知や方法知とともに,自分知を育てるというねらいをしっかりもって,指導に当たることが必要である。
「総合的な学習の時間」は,いわば「自分づくり」をさせるということを一つのねらいとしている。そうした観点から,地域に生きた人々,あるいは現在生きている人々についての学習が重視されてよい。「道徳」の時間での指導との関係を考慮しながら,地域に関する総合的な学習の一環として,地域の人材や人々の生き方に触れさせ,自己を問い,生き方についての自覚を深め,自立を目指す子供の育成を図るという観点に立つ取組を期待したい。とりわけ,中学校段階でのこうした観点からの指導が重要であると判断される。
第四は,教科,道徳,特別活動との関係をどのように図るかという問題である。地域に関する学習活動においても,当然,教科等との関係の在り方が十分考慮されなければならない。個々のテーマやトピック,学習内容ごとの指導計画において,教科等との関連を明