福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -010/036page

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連載コーナー
 
「自ら学び自ら考える力」を育成する授業の実際
中学校社会 生徒の相互交流で社会認識を深める指導
〜クロス・セッションを通して〜
 
教育センター学習指導部

T はじめに

新学習指導要領では,調べ方・学び方,見方・考え方を学ぶ学習や,社会的事象を多面的・多角的に考察する学習が重視されている。事実調べて終わってしまったり,発表だけで集団の練り上げが不十分な学習に陥ったりすることなく,生徒一人一人が自分の考えを粘り強く深め,さらには友だちとよりよくかかわり合いながら社会認識を深めていける一つの方策として,クロス・セッション※1を導入した授業を実践することにした。

※1 クロス・セッションとは,意図的に小集団を組織し,それを組み替えしていくことにより,生徒一人一人が課題を分担し,異なる視点・方法・内容で追究した成果が総合化され,課題を解決していくという学習過程を重視した活動である。

 

U 授業構想の視点

1 クロス・セッションに適する単元の選定

今回は,第1学年地理的分野「さまざまな地域:アメリカ合衆国」と第2学年歴史的分野「大正デモクラシーと文化の大衆化」の2つの単元で授業を実践することにした。ともに生徒が異なる視点や立場から課題を追究し解決できる単元であると考えたからである。

2 意図的かつ弾力的なグループ編成のエ夫

グループ編成は生徒に任せるのではなく,生徒の実態(学習意欲,特性,人間関係等)を考慮して教師が行う。次の図のように課題を分担し,解決する「学習班」(第1,第3段階)と,同じ課題を調べ追究する「調査班」(第2段階)の2種類のグループを組織し学習を進める。

   クロス・セッションの基本型
クロス・セッションの基本型
なお,「アメリカ合衆国」の授業では,この基本型から全体討論をするための「討論班」を組織し,発展型の授業を進める。

3 交流活動(話し合い,討論等)の工夫

活動のねらいや視点を明確にした上で,書く活動を重視しながら生徒一人一人に自分の考えを持たせることに配慮する。また,交流活動の手法として,KJ法※2で類型化する活動や名札マグネットを活用した討論活動を導入する。

  ※2 KJ法とは,文化人類学者の川喜田二郎氏が考案した情報の統合化の手法で,情報の共有化や合意の形成などの共同作業に活用できる。

4 相互評価活動の工夫

班活動の各段階に,活動状況を見つめ直すとともに,班員相互が認め励まし合う場をつくり出すために「ふりかえりカード」を活用した相互評価活動を位置付ける。


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