福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -014/036page
学年主任 ;いつも頑張っていた,あの穏やかな鈴木君が突然爆発したということは,彼なりの理由があったのだと思うのですが…,何らかの兆候はありませんでしたか。 養護教諭 ;昨日,鈴木君が少し落ち着いてから佐藤先生と一緒に話を聴いたのですが,その時は…。 学年主任の話が,佐藤先生の頭に響きました。佐藤先生は,「生徒の表面にしか目がいっていなかった自分」を思っていました。そして,養護の先生の話とともに,昨日の鈴木君との話が思い浮かんできました。(中略)
養護教諭 ;どう鈴木君,少し落ち着いたかな。 鈴木君 ;…はい。
先生…,俺何かしたんですか。 養護教諭 ;そう,何も覚えていないんだ…。 鈴木君 :先生に問題解いてみろって言われたのは覚えているんだけど,「キャプテン失格」って聞こえたら,何が何だかわからなくなって…。 養護教諭 :そうか,キャプテン失格って言われてつらかったんだね。 (中略)
英語科の神田先生が鈴木君の気になる情報を話し始めました。そして遠藤先生も…。 神田先生 ;2,3日前だったけど,部活動が終わって帰る時,友達と何かあったのかなあ…,様子が変だったので何かあったのか聞いてみたんだけど,何もないってことで…。 遠藤先生 ;そう言えば,今日の昼休みは教室に一人でいましたよ。みんながそれぞれ集まっている中で,居場所がないって感じでしたね。神田先生の話と関係あるのでしょうか。 学年会では,今回の問題をどの生徒にも起こりうることと考え,次のような点を大切にして指導援助していこうということになりました。
・担任が生徒と触れ合う機会を多く持てるよう,副担任が協力できる仕事を明確にする。
・共感的な理解に努め,生徒の気持ちを大切にした言葉かけを多くする。
・些細な情報でも,連絡を取り合う。また,担任としては,衝動的な行動をとった鈴木君に対してさらに情報を集め,家庭と連絡を取り,話し合いをしながら指導をすることになりました。
3 佐藤先生の思い
「キャプテン失格の一言,友達とトラブル…」
今日の出来事を思い出しながら,「今回のことは部活動に関係あるのだろうか」,と何かもやもやした気持ちで自宅に帰った佐藤先生に,野球部の保護者から電話が入りました。いっも何かと協力的な斎藤さんでした。「先生,お話ししにくいことなんですが…。
実は,野球部の生徒や保護者の一部に不満の声があるようなんです。」「指導が厳しすぎだ,怒りすぎだとか,部活