福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -018/036page
調査し,授業する。つまり,直線的な評価によるトップダウン型の授業づくりであった。
これに対して,予見型の評価では,子供が今いろいろな場所にいるはずだと仮定して,「では,どんな場所にいるのか,どうしてそこにいるのか。」ということを見極めた上で,複数のスタート点を設定する。また,それはどのように変容していくかというプロセス点を設定する。ここまでがこれまでに行われていなかった評価の部分である。
さらに,この評価をもとにして学習目標(ゴール点)を設定し,そこまでの道筋を構想して授業する。つまり,立体的な評価によるボトムアップ型の授業づくりと言える。
このような予見型の評価に関しての考え方から授業づくりを考えると,「学習内容をいかに子供に学ばせるか。」というとらえ方から「子供にとって意味のある学びは何か。」というとらえ方に転換することができる。
3 授業作りの実際
【See(評価)】
(1) コメット法,描画法を用いた把持概念の調査
まず児童が電気の流れ方についてどのような概念を持っているのかを調査する必要がある。これについて,コメット法(*)により,次の3つのの命題について資料1のような調査用紙を作成し,調査した。
@ 電気は,電池の両方の極から流れ出て,モーターのところでぶつかるよ。
A 電気は,電池の片方から流れ出て,モーターのところまでしかいかないよ。
B 1つの電池に2つのモーターをつなぐと,モーターは1つしか回らないよ。また,それぞれの調査用紙に電気の流れを図に描くことのできる欄を設けることで,描画法による概念の調査もできるようにした。
(2)把持概念の分類
調査により,電気の流れ方に関して,次のような考えを持つことが分かった。