福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -019/036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

(3)概念変容の予見

@ スタート地点の設定
児童の様々な考えの中で,次の2つの条件を満たせばスタート地点として設定できると考えた。

  ア 明らかな根拠を持つ。
  イ 他の考えとの違いが明確である。

前述の4つの考えはこの条件に当てはまるので,スタート地点として設定しようと考えた。なお,ここでの「ぐるぐる説」には,電気が電池の片方から出て,モーターで使われた後,質的に変化して電池に戻ってくるという考えも含まれる。

A プロセス点の設定
初めに出された4つの考えについて,話し合いをし,理解し合うことで,それぞれの児童の考えが他の考えに変わったり,新たな説が登場したりすると考えた。ここでは話し合いをすることで,「ぐるぐる説」と「使われ説」に集約されていくと考えた。なお,ここでの「ぐるぐる説」は,他の説との比較を経た考え方で,行きと帰りの電気の量が同じという意識があると考えられる。

B ゴール点の設定
それぞれの説についての検証活動を通して,最終的には「ぐるぐる説」に集約されるだろう。なお,ここでの「ぐるぐる説」は,電流の量だけでなく,電流の質や向きについて意味づけされた考えであると考えられる。

【Plan(計画)】

(1) 目標概念の設定

把持概念を評価する中で,電気の流れ方について様々な考えを持っていた児童は,最終的には電気の量や質について意味づけされた循環的な見方ができるだろうと予見できた。そこで,この授業を通して育てていきたい,目標とする概念を次のように設定した。

電気は,電池の片方からもう片方へと一方的に流れ,流れ出る量と流れ込む量は同じ。

(2) 学習計画(総時数6時間)

学習を始める際には,まず,それぞれの考えを提案する場が必要であり,それらについて話し合い,違いを明確にし,各自が支持する考えを決定することで,主体的に検証活動を展開できると考えた。また,様々な検証活動を通して得られた考えは,それだけでは確かな概念として定着されない。さらに,いろいろな場面にも有効な,一般性を持った考えとして定着させる必要がある。したがって,次のような3つの場を設定し,授業を展開することにした。

〈お互いの考えを提案する場>
第1次  ○ 電気の流れ方についていろいろな考えがあることを知り,自分の立場を明確にする。
(1時間)

〈それぞれの考えを検証する場>
第2次  ○ それぞれの説について検証し,真偽を確かめる。
(4時間)

〈得た考えの一般性を獲得する場>
第3次  ○ 「ぐるぐる説」がいろいろな場面でも,当てはまるかどうか確かめる。
(1時間)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。