福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -023/036page

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研究紹介
 
場所を生かす造形遊びで児童の創造力を鍛える
 
福島市立渡利小学校 教諭  浅 野  京 子

T 主題設定の理由

図画工作科において大切なことは,一人一人の児童が心に感じたことや表現したいこと,伝えたいこと,つくりたいことなどを自分らしい表現方法で,より美しくより豊かに表現していく創造力を培うところにある。そのためには,まず,大人の押しつけによる美的価値観を尺度にするのではなく,児童が児童自身の美的価値観によって,試行錯誤しながらも自分の思いを表現する過程を大切にする学習の場が必要である。そのねらいに迫る学習の場として,結果よりも「過程の楽しさ」を大切にする「材料や場所などをもとにした楽しい造形活動(造形遊び)」が最も適していると考える。そのよさとしては,

 ○ 活動の場が教室に限定されないので,体全体を使ったダイナミックな活動が期待できる。
 ○ 表現の方向が児童に任される部分があるので,表現形式,方法が多様になる。
 ○ 低学年での豊富な材料体験が高学年での材料や用具などの選択につながる。
 ○ 並べる,組み合わせる,置き換えるなどの試行錯誤が豊かな表現につながる。
 ○ 遊びの特性である主体性,行為性,想像性,共同性は造形活動の大きなエネルギーとなる。

などが挙げられる。
平成10年の学習指導要領改訂では,「材料や場所などをもとにした楽しい造形活動」として高学年にも取り入れられることになり,移行期である今年から実際に授業で実践することが可能になった。そこで,今年度は,高学年の造形遊びを通して児童の創造力を鍛えることを主題とし,研究することにした。

 

U 研究仮説

1 仮説

場を生かす造形遊びをすすめる中で,次のような手だてをとれば,児童の創造力を鍛えることができるであろう。
(1) 意外性のある場を活動の場に提案する。
(2) 場を生かす視点を与える。
(3) 美的な見方や表現の幅を広げるため,友達との感じ方の交流の場を設定する。
(4) 教えることと気づかせることを見極め,試行錯誤の時間を大切にする。
(5) つくる喜びにつながる鑑賞活動の場を設定する。

2 仮説のとらえ方

低・中学年の造形遊びの延長線上にある高学年の「材料や場所などをもとにした楽しい造形活動」は,今までの様々な造形体験を総合的に生かして造形活動を展開することになる。児童は,今までの造形遊びの体験から様々な活動を展開することができると考える。


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