福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -027/036page

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気付き,紙テープを結びつける児童がいた。

キ フィッシング・パーク
男女混合9人グループ。「よい子の森」。
池にこだわっていたグループは,「よい子の森」に池をつくることにした。初めは発砲スチロールに水を張ることを考えていたが,落ち葉を水に見立てて池とすることにした。前日,自主的に集まって,石で池を形づくっていた。当日は,ペットボトルや紙コップ,落ち葉を利用してつり上げる魚をつくったり,小枝にひもと磁石で釣り竿をつくったり,楽しみながら活動していた。他にも,滝や看板もつくっていた。

ク わたりの地上絵〜白鳥〜
男子5人グループ。校庭フィールド。
ナスカの地上絵にヒントを得て,3階の教室のベランダに指令塔を置き,フィールドのメンバーと連絡を取り合い,阿武隈川に飛来する白鳥の地上絵に挑戦した。アイディアスケッチを拡大するのは難しいだろうと心配したが,カラーコーンを使いバランスよく絵を仕上げていた。

(3)考察

@ 意外性のある場の提案
活動の場を校庭としたことによる意欲の高まりがつぶやきやアイディアスケッチからうかがえる。児童は自主的に目的を持ち活動していた。

A 場を生かす視点の提案
事前の「校庭でやってみたい造形遊び」のアンケートでは,思いもつかない児童が約2/3,中には,ラジコン,ゲームボーイなど造形活動とはいえない活動もあった。アイディアスケッチ・メモから,多い児童では7つ,ほとんどの児童が1つ以上のアイディアを考えたことがわかる。参考資料を提示し,「場を生かす」視点を明確にしたことは,アイディアを引き出す上で有効だったと言える。授業後の「屋外でやってみたい造形遊び」のアンケートでは,活動の場を学校近くの「水辺の楽校」に広げたいという児童や季節に目を向けた活動を挙げた児童も出て,発想の幅が広がったことがうかがえる。
このことから,今回の造形遊びは,児童の創造力を鍛えるのに有効だったと言える。

B 友達との感じ方の交流の場の設定
選んだ場所ごとにどんなテーマ・パークにしたいか話し合わせた。中には,「遊びとの違いを考えよう。」など,本質に迫ることを話題にしていたグループもあった。また,お互いのアイディアを尊重し,構想を練り上げる姿が見られた。授業後のアンケートで他のグループの活動を発展させたものが約2/3を占め,友達の活動が刺激になっていることがわかる。交流の場の設定は効果があったと言える。

C 試行錯誤の時間の確保
十分活動できる時間を与えた。構想をもとにした活動で大幅な変更はあまり見られなかったが,試行錯誤しながらつくりあげていく姿は見られた。例えば,レーシング・パークでは,カーブのところの壁の角度やジャンプ台,立体交差の部分を何度も試走させながら活動を進めていた。また,ターザンロープをつくっていた男子は,思うように滑らないので,ロープを変えたり,補強したり試行錯誤し活動していた。フィッシングパークは,時間にゆとりがあったので,周辺の活動へ発展していった。

D 鑑賞活動の場の設定
他学年に,「テーマ・パーク」の紹介文を載せたコマーシャルプリント(資料3)を作成して配布し,遊びに来てもらうように呼びかけた。
カードも用意しておき,感想をもらえるようにした。短い業間と昼休みだったが,コマーシャルプリントの効果もあり,他学年の児童が大勢来てくれた。体験型のフィッシングパークは,100人以上の児童が来てくれた。遊びに来てくれた児童が,楽しそうにしてくれたり,メッセージ(資料4)をたくさん寄せてくれたりして,児童も活動の充実感,達成感を十分味わうことができた。(資料5)


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