福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -028/036page
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
本研究を通して明らかになったことは,次のようにまとめることができる。
○ 教室外に活動の場を求めることによって,児童の創造力を刺激し,ダイナミックで主体的な活動を引き出すことができた。また,授業後のアンケートでは,活動の場を学校近くの阿武隈川の「水辺の楽校」を希望するなど活動の場に広がりを見せた。
○ 「場を生かす」という視点を参考資料で明確にしたので,造形的な観点で場所を見直すことができた。授業後に採ったアンケートでも,場を生かしたアイディアに広がりが見られ,季節を意識したものも出てきて,児童の創造力が鍛えられたことがわかる。
○ 友達のアイディアを聞くことによって,自分の気づかなかった場の生かし方に気づくことができた。授業後のアンケートでは,友達の活動を発展させてやってみたいという児童が2/3を占め,友達との造形的な交流の場の設定は,児童の創造力を鍛えるのに有効であると言える。
○ 活動時間の十分な確保で,イメージに近づけるために,材料や体験した技能などを大いに駆使して,造形活動を楽しむことができた。
十分な活動時間は児童の創造力を鍛えるには重要な条件であることがわかる。○ 造形活動そのものを児童は楽しんでいたが,他学年の児童が「テーマ・パーク」で楽しんだり,評価してくれたりすることによって,活動に自信を持ち,充実感,達成感を味わうことができた。
2 今後の課題
本研究を通して課題として残ったことは,次のことである。
○ 造形遊びも定着してきたとは言え,まだ,単発に行われがちである。発想面,技能面ともに学年の系統性を踏まえ,題材を検討していく必要がある。特に,高学年については実践・研究を重ね,題材を開発していきたい。
※ 参考文献
○ 『小学校指導書図画工作編(文部省)』平成11年○『初等教育資料』平成12年度 5・8月号
○ 『美術手帳』1991年11月号(美術出版社)