福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -030/036page

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2 仮説のための理論

(1) 「視聴覚教材を用いた授業展開を工夫する」とは

無関心・無感動な生徒が多く見られる中で,生徒の心を揺さぶるような資料は必要不可欠であり,視覚に訴えることによって生徒の心を引き付けることができるものと考える。さらに,資料の提示においても,読み物資料とビデオ資料を組み合わせたり,複数時間での授業展開を工夫することによって,価値についての考えを深めることができるものと考える。

(2) 「自分のこととして真剣に考える」とは

他人ごととしかとらえられない生徒にあって,主人公になりきらせ,その場の状況を自分のこととしてとらえさせるような場を設定し時間を確保することは,現在の自分に気付かせ,自覚を促すことにつながるものと考える。

(3) 「人間としての生き方についての自覚を深めさせる」とは

中学生の時期になると,人生に関わる問題に関心が高まり,自己の生き方について自問し,自己存在感を実感しようと悩むようになる。いろいろなものと自己との関わりを考える中で,今まで何ら感じなかったり,気に止めなかったりしたものに関心が高まり自己や社会の未来に夢や希望が持てるようになる。人間としての生き方についての自覚を深めるとは,人間として,よりよく生きようとする意欲や態度を持つことであると考える。

 

V 研究の実際と考察

1 検証授業計画 1

(1) 主題名「家族を愛する心」[4-E]

(2) 資料名「父からの手紙」(東京書籍)

「森兄弟のオリンピック」(ビデオ資料)

(3) 本時のねらい

家族の強い絆に気付き,温かい家庭を築いていこうとする態度を育てる。

2 検証授業計画 2

(1) 主題名「真の幸せを求めて」[1-C]

(2) 資料名「ほんとうの幸せ」(ビデオ資料)

(3) 本時のねらい

自分の幸せとはどういうものかを考え,自己の人生を切り開いていこうとする態度を育てる。

3 検証授業の実際と考察

(1) 検証の観点

@ 生徒の心を引き付けるような資料であったか。
A 自分の考えを深め,価値の内面化を図る授業展開であったか。
B 視聴覚教材の活用が考えを深めるのに適切であったか。

(2) 授業の概要

検証授業 1

読み物資料とビデオ資料を組み合わせた2時間連続の授業

@ 1時間目に扱った「父からの手紙」は,病気で死ぬかもしれない父が息子にあてた願いと家族への思いを描いた感動資料である。また,2時間目に扱った「森兄弟のオリンピック」は周囲の期待を背負い兄弟揃ってオリンピックに出場するはずが,直前に弟が胃癌で出場を断念し,復帰にかける執念とそれを支える兄,父親の思いをリアルに描いた資料で,共に「家族愛」を中心価値として扱ってみた。
今まで,道徳の授業を通して感動をあらわにする姿を目にしたことのなかった生徒であったが,涙を流す生徒も見られ,事後の評価が


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