福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.133(H13/2001.7) -033/036page
て岩崎さんの苦しみなどが視覚にとらえられ,共感しながら真剣に考えることができたと思われる。一方で,理解が十分でない生徒にとっては,読み物資料のように振り返ることが難しく,自分の考えを深めるまでには至らなかったのも事実である[資料6,7]。
[資料7]
Q.あなたの今日の取り組みはどうでしたか。 よく考えた まあまあ考えた 少し考えた 全然考えなかった 14人 9人 6人 0人
☆生徒の道徳ノート(抜粋)☆ 資料『ほんとうの幸せ』より ◎ いま,現在の気持ちから,今までの自分自身を振り返って,自分に人間としての生き方についてアドバイスしてみよう!『岩崎さんのように世界一にはなれないけれど,周囲にまどわされず,自分の思ったことをやり通すようになれ。』
『自分の一番やりたいことを見つけて,自分らしく生きていけば,きっと幸せは来ると思います。つらいことがあっても絶対負けちゃいけないと思う。』4 考察
(1) 生徒の心を引き付ける資料について
人間としての生き方について考えさせる上で,自分のこととして考えられることが必要不可欠であり,そのためには生徒の心を引き付けるような資料が重要になってくる。これまでの道徳の授業を振り返って,「無感動」,「無関心」といった様子が見受けられることから,感動資料を用いて検証授業を行ってみた。特に検証授業1において,生徒の変化が顕著に見受けられた。
授業の結果,生徒の心を引き付ける資料として,@現実的に自分の身近に起こりうること,A自分にとって切実な問題であること,B自分の知っている人の生き方[検証授業2],C自分の気付かなかった新たな発見であることなどを内容とする感動資料が効果的であることが分かった。
(2) 自分の考えを深め,価値の内面化を図る授業展開について
2時間連続の授業は生徒にとっても初めてであったが,かなりインパクトが強かったようである。事後の調査が示すように,1時間目に価値を見い出し,2時間目にビデオを視聴したことによって,自分の中にある思いがビデオ視聴により,より確かなものとなって生徒の心に残ったからだと思われる。また,2つの検証授業を終えて,1週間後に調査[資料8]をした。
[資料8]
Q.その後,道徳の授業で学習したことを考えたり実践したりしたことがありますか。 [ある(9人)]
(内容)
・家族に対する思いが変わってきた。(5人)
・高齢者に優しい気持ちが持てるようになった。(1人)
・目標を持って行動するようになった。(2人)
・1日1日を大事にしようと思うようになった。(1名)
[ない(21人)]
当初の調査では,道徳の時間に学んだことを毎日の生活の中で意識し実践しているのは3名であったことから,意識の変化が伺え,家族に