福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-015/036page
ついては,9割の生徒が増やした方がよいと答えている。
2 成果
(1) 各教科等との関連から
国語科では案内状などの手紙の書き方,数学科では人口や積雪の推移統計の表し方,理科・社会科では野外観察・自然界の生態,地域の生活と環境及び資料からの読み取り,保健体育科・家庭科では食生活と健康や保育の仕方,技術科ではインターネットの活用の方法などを通して,横断的に知識・技能が生かされつつある。
また,地域とのふれあいの中で,公徳心,感謝する心や思いやり,郷土愛などの道徳的な心情が高まり,地域社会と自分とのかかわりなどの意識づけのためには,よい機会となった。
(2) 家庭との連携から
発表会や授業参観を通して,生徒が様々な問題解決的な学習に取り組んでいる姿を見る機会を増やしたことや,「学校だより」等で生徒の活動の様子を掲載することで,学校教育への保護者の関心が高まり,親子の対話が増えてきた。
(3) 地域社会との関連から
地区センターの協力を得て,「学校だより」
を各世帯に回覧し,総合的な学習の時間の取り組みについて地域に発信している。地域の方など,大人を相手に交渉や資料収集をすることによって,様々な場面で自分の意志をはっきり伝達できるようになってきた。
これらの学習を通して地域を見直し,地域の特色を自らの学習に生かしていくことを今後とも期待したい。
(4) 活動の様子から
毎時間ごとに実施した学習活動の自己評価 や相互評価を学習ファイルに累積し,発表会 ・報告会のまとめの資料として活用できた。
また,従来も体験(校外)学習ではレポートを作成していたが,総合的な学習の時間のまとめ方の学習を通して,課題を追究したり,資料を活用したりする能力の質が高まった。
3 課題
(1) 生徒の個性を生かした,主体的な探求活動をめざしたが,まだ不十分な面がある。オリエンテーションにおいて,じっくり課題追究する時間を確保するとともに,方法論的な学習の仕方を身につけさせていければならない。
(2) この地域のよさを生徒に身にっけさせる「立志学習」は今後とも継続していきたい。
さらに探求心を高めるために,地区センターと連携し,生徒が参画できる「フォーラム形式」の学習も工夫したい。
(3) 「明和タイム」では,アンケート結果から先輩に頼り下学年の取り組みの成果があまり見られなかった。今後は,一人一人を生かすためにテーマの内容,学習の進度や学習スタイル等,個に応じた効果的な支援等を通して,生徒の意欲を高めるためのアプローチを工夫することが必要である。また,生徒間(縦割り集団)のかかわり方についても課題が残った。
(4) 生徒の充実した活動基盤には,教師の研修が欠かせない。地域の情報を収集したり,文献調査をしたりして,教師自らの力量を高めていく必要がある。また,地域の人材バンクについてもさらなる活用が望まれる。
(5) 評価については,今までも自己評価などを行ってきたが,より具体的に生徒の成長や変容,活動の成果が確認でき,それを生かしていく評価のあり方を検討していく必要がある。