福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-017/036page

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2本の弦に柱を立てさせ,弦を弾くことに慣れさせた。その後,4本の弦(4音)に増やし,親指だけで弾けるわらべうた『かごめかごめ』を取りあげて,すくい爪などの奏法などを体験させた。

『かごめかごめ』(部分)
かごめかごめ(部分)
「やさしく学べる箏入門」(茅原芳男編)より

(3) 展開での工夫1・日本の音階を使って即興創作をさせる。

箏の基本的な奏法を学習した後に,日本の音階による創作活動へと展開させた。都節音階の5つの音(ミファラシド)に調弦させ,まず,二面一組で4拍間を交互に演奏する問答形式による即興創作を行い,次に4拍間をリレー式につないでいく活動を行った。

問答形式で即興創作をする場面
《問答形式で即興創作をする場面》

最初は,即座にどの音を使ったらよいか戸惑う姿も見られたが,慣れてくるにつれ,音階のどの音を弾いても日本的な音の流れになることを感じ取り,リズム表現などに即興性を発揮する生徒もみられた。
また,一面の即興に別の即興(五面くらいまで)を次々と重ねていく即興創作を行った。この活動では,即興による意外性とともに,音の重なりによる響きの豊かさを感じさせることができた。

(4) 展開での工夫2・『さくらさくら』を使って合奏※段物作品を創作させ,互いに聴き合う活動をさせる。

『さくらさくら』の本手(旋律)と後弾き(後奏)の学習後,本手を修飾する替手(伴奏パート)をグループごとに創作する活動を行った。1グループ5〜6名で構成し,1グループに1段ずつを担当させた。1面にっき2〜3名にし,二面の箏を向かい合う形で置かせた。

二面の箏を向かい合わせ創作をする場面
《二面の箏を向かい合わせ創作をする場面》
※段物……箏曲の一種で,いくつかの段(部分・区切り)をもつ曲。八橋検校の『六段の調べ』が特に有名。本来は独奏曲だが,同一曲の異なる段と合奏したり,他の段物作品のある段と合奏したりすることがある。また,本手と替手による合奏作品もある。

〈創作から発表までの授業の流れ>

@ 本手と替手のパート分担
まず,グループの中で本手と替手の2つのパートに分けた。曲の途中でパートを交替することにし,交替箇所については相談させた。

A 替手担当部分の創作
創作したリズムや音は本手の奏法譜(算用数字による横譜,『かごめかごめ』の楽譜参照)にメモさせた。創作時には,アイデアが思うように浮かばず,「難しい」と感じる生徒の姿が見れたため,教師は,創作のための参考として箏曲や伝統音楽によく見られるリズムの「型」 を紹介した。これにより,生徒は,「型」そのものを借用したり,「型」の展開形を考えながら創作を進めていった。授業後のアンケートで


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