福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-018/036page
は,「リズムの『型』のサンプルを示されたことは創作に役立った」と答えた生徒が多かった。
また,『さくらさくら』の本手と後弾きで学習した箏特有の奏法も,効果的に使ってみるように促した。B 本手と合わせての試し弾き
グループごとに創作の手直しをしたり,二面の箏のテンポをそろえたり,パートの入れ替わりの部分の練習などをさせた。C 演奏者の交替のタイミングの決定
演奏者が,田の述中でスムズに交替できるように練習させた。D 創作の仕上げと演奏順番の決定
演奏前に自分たちのグループが何段目を担当するかを確認させた。E 作品『七段桜』の演奏と相互評価
最終的にそれぞれのグループごとに創作アレンジした『さくらさくら』をつないで演奏し,7つのグループによる合奏段物形式の作品『七段桜』として完成させた。演奏では,段ごとの間がなるべく空かないようにした方が,全体を通して聴いた時に美しく聴こえた。ただし,段の前後で大きくテンポが異なる場合などには,自然な「間」の取り方を工夫してみる方法も考えられる。演奏後には,他のグループの創作や演奏のよかった点を中心に相互に評価をさせた。評価では,互いに自分たちの気づかなかった点や工夫した点などを発見し,学習の質を高めることができた。
W 成果と今後の課題
(1) 成果
生徒の感想より ○ いろいろな『さくらさくら』があって、聴いて楽しかった。 ○全く同じ演奏がなくて、それぞれのグループに個性があった。 ○ 他のグループ(段)の演奏で、自分たちの考えつかなかったリズムや音を聴いた時、あんなふうにもできるのかと驚いた。 ○創作の時、どの音を弾いても「はっ」とするようないい音が出て、楽しくできた。 ○ 創作には難しいイメージがあったが、やってみてとても楽しかった。 ○弾く人の感性がでていたと思う。筝は個性を表現できる素晴らしい楽器だと思った。 ○ 箏を使った題材設定で,箏の美しい音色や優れた構造に興味や関心をもたせ,そこから日本の音階や音楽形式を用いた創作活動へと学習を発展させることができた。
○ 展開の場面で創作活動を取り入れることによって,生徒がそれぞれの個性を生かして,主体的に活動する場面を設定することができた。
○ それぞれが創作・演奏(表現)したものを聴き合うこと(鑑賞)で,互いの表現の工夫やよさを共有させることができた。
(2) 課題
○ 箏の奏法に慣れさせることと,箏を使って創作活動をさせる2つの活動内容を含んでいたために,それぞれじっくりと取り組ませるための時間的な余裕をもたせることができなかった。さらに,指導事項を精選し,年間指導計画などとの関連も図る必要がある。
○ 幅広い日本の伝統音楽や芸能から,生徒がそのよさや面白さを感じることのできる教材や題材の選択,提示の方法などについて,さらに深く研究を進める必要がある。