福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-021/036page
森田先生 :さんも勤めているものね。お母さんとはたくさん話をするのかな。 洋子さん :…………あんまりしない。お母さんは,怒ってばっかり………。 森田先生 :やさしそうに見えるけれど。 :違う。とってもこわい。物をぶつけたり,けったり………。 森田先生 :“あざ”もお母さんにされたのかな。 洋子さん :…………。(黙ってうなずく)
はじめて洋子さんから状況を聴いて,森田先生は心を痛めるとともに,どうすれば洋子さんの力になることができるか考えました。そこで,教頭先生に相談をして,父親に連絡を取り,両親そろって来校していただくことにしました。
家庭のことなので父親の力を借りることが解決につながる早道だろうと考えたからです。5 両親の気付き
ある日の放課後,両親が学校を訪れました。
森田先生は,どんな話し合いになるか大変不安な気持ちでいました。しかし,森田先生から両親への対応を相談されていた教頭先生も一緒に同席してくださることになり,心強い思いがしていました。まず,両親へ来校していただいたことへの感謝の気持ちと,日ごろの子育てへのねぎらいの気持ちを伝えました。そして,場の雰囲気が和んだころ,教頭先生が“あざ”の話を切り出しました。
教頭先生 :実は,洋子さんの体の“あざ”について話をお聴きしたいと思っていたのです。 父親 :“あざ”ですか。話の意味がよく分かりませんが……。 教頭先生 :先日の発育測定の時,洋子さんの体のあちらこちらに“あざ”を見つけたのです。転んだにしては変な感じを受けたものですから。 父親 :そのようなことを何も聴いてはいませんが………。 その時,黙ってうつむいていた母親が,すすり泣きを始めました。 しばらくして,母親は涙声で話し出しました。 母親 :どうしても言うことを聞かないので,イライラしてしまって……。 父親 :……………。 母親 :……………。 森田先生 :お母さんも洋子さんのことで,たいへん悩んでいたのですね。 その後の母親の話から,しつけとはいえ行き過ぎた行為があったことが分かりました。はじめ唖然としていた父親は,改めて来校する旨を告げて,母親と一緒に帰っていきました。
残された森田先生は,洋子さんの“あざ”の訳が分かると共に,今後どう母親を支えていくかその難しさを感じていました。それから数日後,洋子さんの父親が一人で学校を訪れました。
父親の話では,先日学校から帰った後,しばらく感情的なやりとりが続いたそうです。次第に落ち着いた二人は,子育てについての考えを話し合ったとのことでした。
父親も仕事が忙しいことを言い訳にして,子