福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-023/036page
研究紹介 個を生かす指導の充実を図るための学校運営の改善
〜小規模校の特性を生かした教師の主体的なかかわりを通して〜
都路村立都路第二中学校 教諭 御 代 田 進 一
T 研究の趣旨
本校は全校生徒54名のへき地小規模校であり,山間部で3世代同居の家庭環境で育った純朴で思いやりのある生徒が多い。へき地小規模校の特性を生かした様々な取り組みも実践され成果も少しずつ表れてきている。
しかし,学力を例にあげれば,全体の学力は,決して高いとは言えず,学年が上がるにっれ,学力差が広がっているのが実状である。
指導側の原因として考えられるのは,以下の3点である。・生徒一人一人の実態が具体的,客観的にとらえられていない。
・授業の中で個や能力差に応じた取り組みが十分ではない。
・学級として生徒一人一人に対する見通しを持った計画的な指導が十分ではない。また,アンケート結果に見られるように生徒自身が自分のよさを理解していない状況にある。
一つの要因としては,教師が一人一人のよさや個性を認め,さらに伸ばそうといった指導を日常的に十分行っていないことが挙げられる。
本校では,今年度から,「個に応じた学習指導の工夫」をテーマに校内研修として各教科ごとの研究,実践を行っている。特に数学科ではT・Tを導入したり,1単位時間の弾力的な運用を行ったりしている。また,総合的な学習の時間や啓発的な体験を取り入れた進路学習の充実,ボランティア活動や学校田運営といった特色ある教育,特色ある学校づくりへの積極的な取り組みを進めている。
教務主任として,研修主任を中心とした校内研修や複数担任制での学年運営にいかにかかわっていくかが自分自身の課題でもある。たとえば,個を生かす指導の充実を図るため,年間計画に基づいた研修日や打合せの時間を設定したり,週ごとの時間割の編成を工夫したりする。また,打合せでの話し合いが有意義なものとなるよう適切な資料を提示したり,指導・助言を与えたり,教師が連携し取り組めるよう他学年や担当者との連絡調整などの手立てを工夫したりすることも考慮する必要がある。さらに,学期ごとの評価を行い,教師及び生徒の意識を理解し,次の学期に生かすとともに,次年度の教育課程編成の改善に役立っ研究とするため,本研究主題を設定した。