福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-028/036page

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校の実態や生徒の心身の発達段階・特性を意識した取り組みは大変意味あるものである。個々の教師が自らの校務分掌に責任を持ち,それぞれが主体的に推進され,以下のような成果が見られた。

(1) アンケートや学期末の自己評価,毎日の日記等による生徒の実態把握に基づく支援がなされた。そして,個に応じた指導のもと,地域に根ざした体験的な活動を進めることで,生徒の意欲が芽生え,よさが発揮された。

(2) 弾力的な時間割編成を行ったことが,個に応じた指導を充実させた。また,組織的・計画的な校内研修により,教師の共通理解が深まり,授業に対する意欲や計画性などにつながった。

(3) 計画的な学級運営が見られるようになり,複数担任制のよさを生かし,生徒一人一人を多面的にとらえ分担しながら個に応じた指導がなされた。

2 今後の課題

(1) 年間行事計画の見直し

学校行事,総合的な学習の時間,啓発的な体験を取り入れた進路学習,……といった様々な活動が行われた。それに向けての細案準備,事前・事後指導を考慮に入れた年間計画を作成したが,実際はある時期に集中してしまい多忙化してしまったものもある。計画を立てる段階でもう少し学年や担当者との話し合いを設定し,その意見を取り入れる必要がある。

(2) 単位時間の弾力的な運用を図る年間指導計画の作成

25分授業や75分授業は教科の特質や学習内容によってはとても効果的である。しかし,1つの教科だけでは実施できないので,多くの教科で実践する必要がある。また,教科によっては, 年間を通して行いたい教科と,ある時間だけ行いたい教科がある。それらを調整しながら時間割を編成するのはとても時間のかかる作業である。年間指導計画を作成する段階で各教科のしっかりとした見通しが必要である。

(3) 複数担任制の理解

2人で学級にかかわれば生徒のよさや可能性を2倍引き出すことができる,自分の得意な分野で力を発揮できる,お互いの欠点を補うことができる,……とよい点は多くある。しかし,お互いに遠慮して指導が抜けてしまったり,価値観のずれから生徒に不信感をいだかせたり,仕事を機械的に分担して生徒たちから担任としての信頼感を損ねてしまったりする場合もある。そのためにも複数担任制の理解と事前の打合せがしっかりできていなければならない。

個を生かす指導のもと,一人一人に適切な指導・援助がなされ,生徒たちが授業中真剣に考えたり自分の意見を積極的に発表したりする姿が見られるようになってきた。また,学校祭「松風祭」では一人一人が自分の役割をしっかり理解し,「自分の力で」という意識で活動し,やり終えた後の充実感を得ていた。

教務主任としてこれらの活動をこれからも支えていくためには,年間計画に基づき,月・週の計画を提示したり,授業時数の調整を図ったり,評価をしたり,結果をまとめ提示したりするなどの識見をまず身に付けるよう絶えず研修に努めなければならない。教育課程を編成する段階で各教師の持つ考えや願い,やる気を持続させるよう要所要所のアドバイスを心がけていきたい。


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