福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-030/036page
アンケート結果から,調べ学習を通して知識を獲得することには興味・関心があるが,グループ討議や発表に対して苦手意識を持つ生徒が多いことがわかる。したがって,プレゼンテーションスキルを身に付けさせる学習活動を取り入れることによって,苦手意識克服のための効果的な学習活動が展開できると推論する。
教材は,時事問題の中でも生徒の関心の高いテーマ「政治・社会・経済」から生徒の主体性を尊重しながら研究項目をピックアップする。活動にあたっては,客観的な資料と関連させて考察させるとともに,公正かつ客観的な見方や考え方を深めさせ,適切に表現する能力や態度を育てたい。さらに単なる発表学習ではなく,説得する技術,理解させる工夫を指導し,相手に「何を」「どのように」 伝えれば,納得させることができるか,生徒自身が体感できる授業を展開したい。以下に,指導のねらいを構造化した。
プレゼンテーション
↓○「個性化」「多様化」を発揮する活動
ディスカッション
↓○「一般化」「社会化」を実現する活動
相互理解
○自己理解・他者理解のための活動
U 研究仮説
1 研究仮説
時事問題(現代社会の諸課題)の考察において,調査・研究と「プレゼンテーション学習」を取り入れることにより,表現スキルなどの方法知が身に付き,良質のコミュニケーションが図れるであろう。 2 仮説のための理論
(1) 時事問題(現代社会の諸課題)について
様々なメディアを通して送信された情報資料を主体的に選択し,現代社会の諸課題を実証的かつ合理的に分析・総合するための科学的な探究活動を通して,公正な見方・考え方を深めさせる。
(2) 調査・研究と「プレゼンテーション学習」 の展開
資料選択の基準,資料活用の方法,結論を得た根拠と過程をそれぞれ明らかにし,それらを適切に表現するスキルを育成する手段として,「プレゼンテーション学習」は有効な方法である。「どのようにしたら,うまく説明し,伝えられるか」を,生徒自身に考えさせることによって,自己表現力の育成を図る。
具体的には,図書館などを学習の場として設定し,館内の新聞,統計資料,その他の文献を活用して調査・研究させ,報告書にまとめ発表させる。さらに,生徒自身そして生徒間でプレゼンテーションを評価する活動まですすめていきたい。
(3) 表現スキルなどの方法知が身に付く
新聞記事を読みこなす知識に加え,文章表現,分かりやすい文章・表のレイアウトなど の表現力,発表力,説得力などの方法知を伸ばすことが,社会人として必要な能力の育成につながっていくものと考える・ここまでの場面では,生徒の「個性」や「多様性」が発揮されるであろう。
(4) 良質のコミュニケーションが図れる
これまでの授業では「聞く」「理解する」などの受信能力を高める点にポイントをおいた授業になっていたのではないか。今後は,「聞く」「理解する」から発展させ,「話す」