福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-033/036page

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識が欠けている。調査・研究が深まっていても,あいまいな表現によって相手に十分に理解されないことがあると気付かせたい。

 

X 研究のまとめと今後の課題

新学習指導要領改訂のポイントに即した授業展開の在り方という趣旨に沿って,「課題解決力」「表現力」「説得力」の育成を掲げ,研究に取り組んだ。
以下,研究のまとめと課題を端的に述べる。

1 研究のまとめ

(1) 時事問題の考慮

研究テーマとして設定した4つの中では,「教育問題」に生徒の興味・関心が集中した。
特に,「少年法改正」,「教育改革(学校・教師の在り方)」については,多様な意見や提案が述べられた。1っのテーマに「狭く」また「一面的に」考察する傾向が見られたので,事前に,多くのテーマに関して「広く」「多面的に」調査・研究をすすめるように助言する必要があった。また,問題の本質に対する知識・理解が十分でなく,考察の妨げになったグループがみられ,基礎・基本の大切さが再確認された。「日本経済の動向」については,調査・研究が敬遠されたので,講義形式の補充授業で説明しなければならないであろう。

(2)調査・研究と「プレゼンテーション学習」 の展開

図書館内の書籍や新聞では資料が不足しており,調査・研究が十分にできなかった。しかし,限られた資料を生かして熱心に活動する生徒たちの姿勢は評価したい。特に,ファースト・プレゼンテーション後は,方向性が明確になったので意欲的に取組み,発表用資料(報告書)をまとめていた。セカンド・プレゼンテーションでは,経験不足とはいえ,生徒自身が「話し」,「参加する」授業が展開できた。また,生徒の感想から生徒自身の達成感が読み取れ,個々の変容が認められた有意義な学習活動であったと判断する。

(3) 表現スキルなどの方法知が身に付く

調査・研究活動によって時事問題に対する考察が深化・拡大したのは,その後のディスカッションあるいは感想・反省文を通して明らかであった。ただ,表現スキルおよび方法知の育成に関しては,相対的に伸長した点は認められるが,指導のねらいとして満足できるレベルではなく,今後の継続的指導が必要である。
また,生徒の「個性」「多様性」「創造性」 などが発揮される場面が多く,発表用資料(報告書),プレゼンテーションともにバラエティ豊かなものになった。

(4) 良質のコミュニケーションを図る

プレゼンテーション=「フリーカード」によって相互評価させた。これによって発表者と視聴者が文字を通して意志の疎通ができた。
「聞きながら」「書いて」「評価できる」という点で有効であり,今後の授業でも活用できそうである。

2 今後の課題

(1) 課題解決型学習・発表学習の在り方

進学校において,課題解決型学習,自己表現力育成型学習の展開は,教員間のコンセンサスを得るなどの難しさ,授業の進度との関わり,知識・理解こそ受験勉強と考えがちな


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