福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-005/036page
校は,教育全体の主体ではない。教育の主体はあくまで家庭であり社会全体であることを認識しつつ,学校は,家庭・地域社会・地域企業との連携のもとで,教育の『部分』を担わなければならない。」を実践する形で計画されていった。平成13年2月にはようやくインターンシップ実施のめどが立ち,3月の職員会でその骨格が次のように固まった。
1 インターンシップ導入の背景
昨今,社会情勢の変化や,家庭・地域社会の教育力の低下等により,次のような問題点が生じてきている。
(1) 家庭での役割を担う勤労体験や,大人の働く姿に接する機会を持たずに育った子供たちが増えている。その結果,職業観が養われず,雇用形態等の変化と相侯(あいま)って,早期離職者や無業者の増加が目立ってきている。
(2) 少子化や地域の都市化が進む中で,少年期に多面的な人間関係を訓練する場が失われつつある。その結果,特に異世代間のコミュニケーション能力の欠如が見られるようになった。
(3) 97%を越える高校進学率のもとで,学ぶことの意義や目的に対する意識が希薄になってきている。それが,中途退学者の増加や基礎学力の低下につながっている。
(4) 今後数年間に,工業科の学科改編,学級数減が予想される。そして一方では,高校生の就職希望者の4割が普通科の生徒であるにもかかわらず,普通科生徒への求人数とその就職実績は,全科中最低であるという現実がある。本校では,これらの問題を解決するための対策の一つとして,普通科にインターンシップ(就業体験)を導入することにした。就業体験は,家庭・地域社会・地域事業所との連携の上に立ち,学校における学習との有機的な関連を図ることによって,より高い教育効果を上げようとするものである。2 川俣高インターンシップの基本方針
(1)目的
@ 望ましい職業観・勤労観を身に付ける。
就業体験を通して,働くことの意義や目的を理解し,自ら進んで働こうとする積極性や進路選択における主体性を身に付ける。
A 職業の現場を知り,人と人との心のつながりの大切さを知る。
職業の現場における仕事上の体験だけでなく,職業人との触れ合いや交流を通じて,職業人としての基本的マナーや言葉遣い,異世代間のコミュニケーションの在り方についても学ぶ。
B 学校における学習や諸活動と実社会との関連を理解する。
学校での学習や諸活動の意味とその必要性を理解するとともに,どのような学習や活動が必要なのかを自ら考え判断し,主体的に行動できることを目標とする。(2)方法
@ 普通科1年生に対して,平成13年度より実施する。
A 実習先は,生徒の進路を考慮しながら,実習生の現住所に近い事業所に委託する。
B 実施期間については,10月の第1週の5日間を設定する。
C 就業時間については,実習先の就業規則に準ずる。
D 一事業所当たりの実習生の人数は,原則として,3〜5人とする。(3)位置付け
@ 「学校外における学修」として,教育課程