福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-009/036page

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初めての試みであり,どこまで希望に添えるか不安もありましたが,受け入れてみるとどの生徒も実に素直で,積極的に働き,とても好感が持てました。そして,体験を通して多くの感想を残してくれましたが,共通して言えることは,将来の選択肢として考えたい,選択肢が広がったということでした。これを聞いてインターンシップの目的の一つは達成されたとうれしく思いました。(M幼稚園)

事後アンケート

 

 

Y おわりに

ここに載せた文面からは,このインターンシップが家庭や地域に好意的に迎えられ,多くの生徒たちもそれなりの達成感を持って体験を終えることができたことがうかがえる。しかし,ここにたどり着くまでの道は決して平坦ではなかった。平成13年度実施を掲げてからも,地域の人々の意見を聞きながら立案作業を進める中で,改めて,インターンシップとは何なのかを問い直す場面が度々あったし,また,普通科としては県内に例を見ない人数と日数であるために,受け皿に対する不安は直前までぬぐえなかった。さらには,生徒の割り振り,事前指導,事故対策等々,技術的な問題は山積していた。それでも,終わってみればまずまずの評価を得ることができた。ここに一学年便りに載った本校職員の話を紹介する。

「私の担当企業の専務は,『普段,町で見かけるだらしない生徒がいる。こういった生徒が来たら,どんどん指導していこうと思っていた。しかし,今回は素直な生徒さんで拍子抜けしてしまった。今度は規則を守れないような生徒をうちによこしてください。』と,意欲的に話をしていました。迷惑を掛けずにできればいいと思っていたので,この専務の話は意外であり,地元の人の熱意を感じました。

また,聞いた話では,幼稚園でインターンシップを行った生徒が数日後,スーパーで園児に会った時に声を掛けたとのこと。その園児は幼稚園や家庭でそのことを喜んで話をしていた,というのです。心温まる話だと思いました。」

ところで,「川俣高V21委」の精神を表現した中の「教育の『部分』として学校が担うべきもの」については,現在まとめの段階に入ったとはいえ,まさにこれからである。

生徒たちがこの体験で何に気付いたのか。確かに,異世代間のコミュニケーションの大切さや仕事に対する責任の重さなどへの理解については多くの体験記から読み取れる。これらも重要な目的の一つであり,家庭・地域の機能が効果的に働いたと言えるだろう。したがって,残された課題は,「今後の学校生活をいかに過ごすか」ということである。

求められるのは,確かな基礎学力であり,社会人・職業人として必要な基本的能力であろう。この意味において,「川俣高インターンシップ」は,始まったばかりだと言ってよい。


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