福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-016/036page

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連載コーナー
「自ら学び自ら考える力」を育成する授業の実際
[小学校 体育] 導入段階に「体ほぐしの運動」を位置付けた器械運動の授業
〜指導計画の工夫を通して〜
 
教育センター学習指導部

I はじめに

近年,児童の成育環境の変化により,体力・運動能力の低下や活発に運動する児童とそうでない児童との二極化などの問題が起こっている。このような状況から,新学習指導要領において,すべての児童が生涯にわたり積極的に運動に親しんでいくための基盤の一つとして「体ほぐしの運動」が新設された。この運動は,心と体を一体としてとらえる観点から,体を動かす楽しさや心地よさを味わう活動を通し,自分や仲間の体の状態に気付き,体の調子を整え,仲間と交流することをねらいとしている。

本研究は,心と体を一体としてとらえる観点を重視し,第5学年の器械運動において「体ほぐしの運動」を導入段階に積極的に取り入れるなどの指導計画の工夫により,「体育の基礎的な力」をはぐくむ授業を目指したものである。体育の授業に対する意欲の向上,学び方の定着などを通して,運動に自発的,効果的に取り組むことができるようになれば,「生きる力」を支える健康や体力を自らの手で維持・向上できるものと考えた。

 

U 研究内容・方法

(1) 「体育の基礎的な力」について

本研究では,体育の学習を成立させるために必要な要素を「体育の基礎的な力」ととらえた。必要な要素には,運動の技能や知識など多くの項目が挙げられるが,今回は,運動に対する意欲,運動のアナロゴン(※1)の経験,学び方の3点に焦点を当て,その向上や定着を目指すことにした。

  ※1 未経験の運動の基となる,簡単で類似した動きのことである。台上前転のアナロゴンとしては,回転の類似性から前転が,また,踏み切り感覚としては,ケンパー遊びが挙げられる。

(2) 器械運動の導入段階における「体ほぐしの運動」の位置付け

「体ほぐしの運動」には,様々な取り組み方が考えられる。本研究では,主運動である器械運動の導入段階に位置付けた展開を試みた。器械運動のアナロゴンを含む運動や児童相互の関わり合いがある運動を楽しく行うことにより,主運動に対する意欲や教え合いなどの学び方,そして技能の向上を図ることができると考えた。

(3) 指導計画の工夫

マット運動と跳び箱運動には,体を腕で支える腕支持感覚や片足踏み切りと両足踏み切りの使い分けなどの共通するアナロゴンが存在する。そこで,マット運動と跳び箱運動をまとめて大きな単元としてとらえ,導入の段階で共通するアナロゴンを含む「体ほぐしの運動」を行うことにした。「体ほぐしの運動」


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