福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-026/036page
W 研究の概要と考察
1 基礎授業の考察
基礎授業Tにおいては,既習事項を活用することによって算数は考え出すものだという意識を持つようになってきた。また「アイテムカード」の活用によって何を根拠に考えたらよいのか,友だちは何を根拠に考えているのかを児童自身が理解できるようになり,積極的に活用しようとする姿が見られるようになった。
基礎授業Uでは,半数をこえる児童が数直線図に数量関係を書き表すことができるようになった。ワークシート活用の効果が表れているものと推察できる。
基礎授業Vでは,表を書くことで2つの数の数量関係に気付いた児童は一人だけであったが,この考えに触れ,自分もやってみようとした児童が増えた。これは検証単元で,大きさの等しい分数を見つけ出す活動に生かされるものであり,さらに児童のノートヘの教師のコメントを記して意欲付けを図った。
基礎授業Wでは,ロッカーの番号の並び方(教科書の写真)から「いくつずつ増えるのか」「かけ算九九ではどの段の答えが並んでいるのか」といった数の見方をする児童が増えた。これが倍数を考える素地となり,2つの数の共通な倍数を公倍数として捉えられるようになった。
2 検証授業の概要と考察
(1) 検証授業の流れ
既習の内容を発展させて未知の内容に気付かせていくことにより,児童一人一人が疑問を持ち課題解決に進んで取り組めるようにしたいと考え,次の問題を提示した。
・3/4と1/4ではどちらが大きいでしょう。
「なんだ,簡単だよ。」と児童からの声があがった。さらに,どのくらい大きいのかと問うと,2/4だけ大きいとの返答があった。「5年生らしく約分しよう。」と投げかけ,答え1/2とした。ここで,ひき算の逆算はたし算であることから,次の式を板書した。
・1/2+1/4=
「分母が違っている。」児童は,すぐに既習内容との違いに気付くことができた。この答えは被減数になることから3/4なるはずだと児童に見通しを持たせようとした。ところが,単位分数が違っているたし算なので答えは3/4にはならないと言う児童が26名いた。答えは3/4だろうとの見通しを持った児童は11名である。ここでお互いが言い分を主張し始めたため,この式の計算の仕方を課題として児童に提示した。
・分母の違う分数の計算はどのようにするのだろう。
まず数直線上で音1/2と1/4の大きさの見当をつけさせ,さらにその和を数直線上に見積もらせた。この後,「アイテムカード」を参考にしながら同値分数や通分の考えを活用する姿が見られた。通分することに気付かなかった児童は「アイテムカード」から1/2と1/4の大きさを写し取り,ノートにそれらの大きさをつなげることで答え3/4と出していた。式による表現ができなくとも,数直線を利用し,正答を導くことができた。4コマ日記には分母を4にした方がやりやすいとの意見が多かった。【資料2】前時ではまだ理解が曖昧な児童が多かったため,さらに真分数のたし算について児童とともに次のような課題を設定した。