福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.135(H14/2002.2)-028/036page
また「アイテムカード」を使うことで自力解決できるようになったという児童は28人であった。残りの10人は,自力解決では使わなかったが友だちに説明するときには使っていた。
「アイテムカード」の有用性を確認できるとともに,進んで計算に関わろうとする姿に変容してきたことがうかがえた。
【資料6 意識調査における割合の変化】
質問事項 4月(%) 11月(%)何を学習するのか(課題)が分かるか 29 100自分なりに解決の方法をもてるか 37 100話し合いで,友達の考えを理解できるか 63 874コマ日記に自分の考えを整理できるか 60 100
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1) 前提テストを通して「アイテムカード」を作成し,既習事項を使った課題設定を行ってきたことにより,課題を理解して計算に取り組んでいく姿が見られるようになった。
(2) 単位分数を意識させるための分数カードを活用した見積りの場の設定によって,目安とした0や1/2,1などの大きさがとらえやすい数との比較から分数の大小関係を意識できるようになり,数の見方に広がりが見られた。
(3) 児童の4コマ日記に目を通すことにより,一人一人の思考の状況や理解の度合い,つまずきの早期発見をすることができ,それに合わせた適切なKR情報をコメントすることができた。児童の判断を認めたり別の判断を促したりすることが,次時での学習意欲の向上につながるとともに,解決の手助けもできることが確認できた。進んで計算に関わらせるためには大切な支援であることが分かった。
(4) ワークシートの活用によって,授業では進んで線分図や数直線図をかくようになった。数直線図の活用によって,児童が計算結果への見通しが持てるようになるとともに,自分の計算結果を振り返る手がかりとなった。また,友だちに自分の考えを説明する際の根拠にもなった。思考力や判断力の育成にも効果があったと思われる。2 今後の課題
(1) 見通しの段階では,大きな誤答を防ぐための見積りだけでなく,演算決定ができるような支援のあり方も考えていかなければならない。
(2) 算数と関わりのある身近な事例をもとに,実生活との関わりを生かした教材開発をし,進んで計算に関わらせることも必要である。
(3) 児童が身に付けている力,そしてこれから身に付けるべき力をしっかりとらえ,指導と評価の一体化を図って児童の姿にせまっていかなければならない。現在までの一人一人の到達点を明確にし,問題解決能力の育成を見通した計画を作成していく必要がある。